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守霊界変  作者: クロガネガイ
第一部
66/145

伝説の…

 暖かな光がガリズマさんをはじめとして皆を包み込んだ。カイザは翳していた手をダランとおろし、支えている梨衣りいに持たれかかっていた。相当魔力と体力を消費するのだろう…病み上がりだというのによく協力してくれたものだ。


「ここ…は?」「イテテ…おいどうなってんだ?」


「ガリズマさん!それに皆も…」


「ケント君、この状況は一体どうなってるんだい?」


「そうだぞ。なんか全身スゲー痛いんだが?」


「えーっとそれは~」


「ねぇ、その人たちがあんたの仲間ってわけ?」


「あ、うん…この人が俺が所属するギルドのギルドマスターであるガリズマさんで、そっちがベリルさん、隣の大きい人がラーシャルドさんだよ」


「おいケント、そいつらは一体何者なんだ?で、なんで俺の全身がいてぇのか説明しろ~」


「この人たちの協力のおかげで敵に捕らわれていたベリルさんたちを助け出すことができたんですよ。森で敵の襲撃にあいその時に皆眠らされちゃって敵の拠点に連れ去られたんです。俺はこの梨衣りいの助けでどうにかその眠りから目覚めてこの洞穴の中で皆さんを探しだして今に至ります」


 淡々と現状についての状況をみんなに説明した。俺が話している間は皆真剣に聞いてくれていた。ただ一人ベリルさんだけは体の痛みを随時訴えてきたが知らぬ存ぜぬで切り抜けた。まさか起こすために試したダメージが蓄積されていたなんて思いもしなかった。ここで素直に名乗り出たら後が怖いので敵にやられたことにでもしておこう。


「なるほどね~で、一つ聞いてもいいかい?そこの彼、私たちを襲撃してきた敵に容姿が似ているんだけど…何か関係があるのかい?」


「それは…」


「ええ、そうよ。あなたたちを眠らせてここまで連れてきたのは紛れもないこの人…カイザ君に間違いないわ。でも、今はもう奴らの手先ではないの…カイザ君も敵に操られてただけなんだから」


 梨衣りいは重要なことをカミングアウトしながらもカイザのそばを離れず心なしかカイザを庇うような立ち位置を取りながらガリズマさん達と話していた。


「ケント君そうなのかい?」


「はい」


「ケント殿、お仲間が目覚めてよかったですな~」


「ケント、そこの爺さんは誰なんだ?」


「この人は~」


「ま、まさか…あなたは!?ルシウス、見てくださいあの伝説の方ではありませんか?」


「んぁ?急にでっかい声出すんじゃねぇよ。ってオイ、マジかよまさか…いや、そんなわけねぇだろ」


 シンリーさんを見てミヤさんとルシウスさんが騒ぎ出した。確かシンリーさんの話では昔はそれなりに名を馳せた冒険者だったとか言ってたような感じだったが彼らはその当時のシンリーさんを知ってるというのだろうか。


「ガリズマもよく見てください。前に話したことがありましたよね。伝説の冒険者の一人…不動明王ゼノムシンリーですよ!」


不動明王ゼノム?シンリーさんの二つ名とかですかね」


「うむ、昔はそういうような呼ばれ方をしたこともあったかの」


「ケント君、その方とはどうやって知り合ったんだい?」


「ああ、俺とシンリーさんは同じ牢獄に入れられてて、ガリズマさんたちを助けてここから出るために力を貸してもらう感じになったんですよ。まさかガリズマさんたちが驚くような冒険者だったなんて知りもしませんでした」


「伝説の冒険者ギルド…『天元京あまつばら』、冒険者をやってるものなら皆憧れる存在ですよ。まさかこんなところで会えるとは…感激ですね」


「今はただの老いぼれよ。そんなに褒めても何も出はせんのじゃ」


「確かにそうだな。だが~確かギルド天元京あまつばらは所属メンバーの半数がとあるクエストにて他界したとかそういう理由で解散したんじゃなかったか?」


「記述ではそのように記されていましたが~実際のところは謎がおおくてよくわからないって感じじゃなかったですかね。でも、そのギルドの一人である不動明王ゼノムがここにいるんですよ。その謎について聞けばいいではありませんか」


「確かにそうだな。不動明王ゼノム、あんたに聞きたいんだが~」


「みんな気を付けて!」


 ルシウスさんとミヤさんがシンリーさんに詰め寄るなかガリズマさんが唐突に声を荒げた。ガリズマさんとベリルさんは既に戦闘態勢へと移っていた。俺とルシウスさんらは何がなんだかわからなかったがとりあえずガリズマさんの見ている方向に向けて構えた。


「主様~誰かくるよ~」


 トーナが敵の襲来を検知したのか知らせてきた。それを聞いて納得した。ガリズマさんたちはトーナよりも早く敵の襲撃を察知したということだったのか。危機感知能力に長ける元魔生物のトーナよりもはやく気づくなんて勘が良すぎるだろ。すぐにでも戦えるように見えたがみんな疲労が残っているのかいつものキレがなさそうだった。


「ガリズマさん、ここは俺にまかせてください」


「ケント君?」


「おいおい、デッカイ口叩くようになったじゃないかケント!あれ、お前俺が与えた手甲鉤ハンドクローはどうしたんだ?」


「敵に奪われました。ベリルさん達も武器ないじゃないですか」


「ん!?あれ、ない。俺の手甲剣ジャマダハルが…って、お前も武器がないのにどうやって戦おうっていうんだ?」


「チッチッチ~それについてはご安心を…見ててくださいよ~俺の新たな力!猛虎タイガースタンス


 ガリズマさんたちがいない間に開花したチカラ…俺だって強くなっているんだってところを見てもらうんだ。

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