表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守霊界変  作者: クロガネガイ
第一部
53/145

秘策

 さぁ、集中しろ。できるかじゃないやるんだ。ここで足止めされて黙ってるなんてらしくねぇよな。アイツなら高笑いしながら鉄格子を蹴破ってるはずだろ。シンリーに見守られながら自身の腕...ベリルさんから貰った手甲鉤ハンドクローをいつもつけていた場所にイメージを集中させる。思い浮かべるのは常に最強の自分、イメージの先には常に成し遂げた後の光景を…ってね。本当にできるかはわからないけどやるだけ試さないとな!

 今、俺がやろうとしているのは手甲鉤ハンドクローの疑似生成だ。虎撃連舞フーランペイジを放つ際、手甲鉤ハンドクローの周りに現れる橙色の靄、それを具現化させ手甲鉤ハンドクローの代わりにできないかと考えたのだ。成功できるかはわからない、でもなぜかできる気がしていた。なんの根拠もないけれどやってみる価値があると…そう思えたんだ。


「ハァァァアアア!!」


 まるでどこかの超野菜人のように気を溜める感じになってしまった…でも、なんか声を出しながらやるとできるような雰囲気になるんだよな~これも既視感が影響しているのだろう。これで唐突に髪が逆立ち金髪になったらやばいな。なんてことを考えていたら…


 プシュ~~


「え…まじかよ。できてしまったじゃん」


 嘘か誠か俺の両手には手甲鉤ハンドクローをモデルにしたような爪がついていた。それらは橙色の装甲でできており、前に見たような靄ではなかった。まさか本当にできるとは思ってなかったけどできてしまったのなら話が早い。


「シンリーさん、離れてください。鉄格子を破壊します!」


「了解じゃ。でも、お主…一体何者なんじゃ?」


「え?!えーっとそれは…」


 何者かか…確かに何もない場所から武器を生み出すなんて芸当普通じゃありえないよな?もしかしたら魔法の類であるかもしれないけどそんなものがあるかどうかもわからないし、少なくともシンリーさんもそんな魔法を知らないってことだろうしな。ここは適当に誤魔化しておこう。まずはここからの脱出、それが優先だもんな。


「えーっと、俺は…霊仙拳斗れいせんけんと。ただの冒険者ですよ。それじゃ、鉄格子を破壊します。破片などに気をつけてくださいね。行きますよ~虎撃連舞フーランペイジ!」


 注意喚起の後に鉄格子に向かって虎撃連舞フーランペイジを発動する。ビクともしなかったそれはキンッキンッと金属音を出しながら徐々に削れていき…


 ガチャン…


 結構頑丈だったのか切断に少々手間取った。だが、目の前の鉄格子は綺麗に切断され人一人が通れるだけの空間ができていた。


「シンリーさん、大丈夫ですか?」


「儂は大丈夫じゃが…お主、本当にただの冒険者なのかの?」


「何をまたまた~近頃の冒険者ならこれくらい朝飯前ですって~(そんなわけはない)」


「そうなのかの。でも、助かったのじゃ。それで、これからどうするのかの?」


「俺は皆が連れていかれたところに向かおうと思います。俺と一緒にいた皆も俺と同じように眠らされているだろうし、今回のクエストの目的である皇女様も助け出さないといけないので…シンリーさんは一足早くここから脱出してください」


「そんな水臭いことをいうでない。ここまで来たら一蓮托生、儂もお主の仲間を助けるために尽力しようぞ」


「え、いいんですか?」


「ついさっきも言ったが目が見えぬが投擲で援護射撃程度はできるでの」


「あならのはふりは万能強者でしたっけ封人シラであるあなたが受けた祝福エメ…」


「なんじゃ、目が見えないものに背後を任せるのは不安かの?」


「いえ、そういうんじゃないですけど…これから先は命を落とすかもしれないところになります。そんなところに連れていっていいかと…」


「一蓮托生といったじゃろうて、お主がやると覚悟を決めたのなら儂もお主と同じ気持ちじゃ…そう思ってくれてよい」


「わかりました。では、行きましょう!でも、一つだけ約束を…絶対に生きてみんなとここから出ましょう」


「無論じゃ」


 暗がりのなか慎重に歩を進める。先程の鉄格子を壊す音で奴らがいつ駆けつけてくるかわからない状況だ。先の見えない洞穴のなか曲がり角で正面衝突なんて避けたいところだ。そういうのは可愛い子とが望ましいってね。実際にそんな場面に遭遇したら理想的な対応なんてできなさそうだけどな。


「シンリーさん、大体の場所ってわかりませんか?」


「少し静かに…」


「あ、すいません」


 シンリーさんのもつはふり…万能強者で周囲の状況を把握してもらいなが前へと進んで行く。なんかウォールハックしてるみたいだよな~一方的に相手の位置を探れるってのはこういう場面において有利すぎるもんだな。こういうのってFPSとかだったらチート級な扱いを受けるけどなんかわかる気がするよ。なんてことを考えていると…


「お主、待つのじゃ」


「おわっ?!」


 突然、背後を歩くシンリーさんに引っ張られた。急な出来事に思わず変な声が出てしまった。


「どうしたんですか急に?」


「気をつけるんじゃ、誰かはわからぬが一人こちらに近づいてきておる」


「わかりました」


 シンリーさんの言葉を聞き、すぐさま臨戦態勢へと移る。ここは洞穴の一本道だ。多少曲がりくねっていて直線的な射線は通らないがもしここで接敵するとなると戦いにくいのは言うまでもない。


「すこし戻りましょう。ここで戦うのはあまり良くないと思います」


「そうじゃの」


 シンリーさんと話し合いすこし戻ったところにあるひらけた空間まで引き下がった。ここで敵を迎え撃つ。さぁ、誰が来ても構わない、ここで倒してやる!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ