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守霊界変  作者: クロガネガイ
第一部
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次なる標的

「ふざけんな!急死現象の元凶?そんなものどうだっていいだろうが、なんでどいつもこいつも僕の願いを叶えてくれないんだ。ねぇ、マリィ…君もそうおもうだろう?」


 一人置き去りにされたドルフィネは小脇に抱えていた人形を取り出しそれに語り掛けていた。人形は彼の言葉に頷くこともなく微動だにしなかった。


「ミーツケタ」


「ん?!だ、誰だ!」


 カイザとミスティが走り去って数分後、項垂れるドルフィネの前にカイザを追従していた黒い靄が到着していた。


「ネガイ カナエル?」


「一体誰なんだ?どこから話している!はっ!?もしかしてマリィかい?僕の願いを聞き入れて話せるようになったのかい」


 黒い靄の存在に気づいていないドルフィネはその声の主が自身が妄信する何かだと錯覚し人形であるマリィが話せるのだと勘違いしてしまったらしい。


「ニクタイ ホシイ」


「肉体?マリィ何言ってるんだい、君にはほらこんなに美しい体があるじゃないか」


「チガウ オマエ ヲ ヨコセ!」


「え?」


 存在に気づいていなかったドルフィネを黒い靄が突然包み込んだ。暴れるドルフィネの体にそのすべてを移し替えるようにしばらくウヨウヨと動いていた。


「こんな モノ か」


 黒い靄が晴れるとそこにはドルフィネだった何かが立っていた。小脇にはマリィと名付けた人形を抱えていたがその放つ雰囲気は別の何かであった。


霊干渉者ダイスト カ その チカラ 我が アルジ のために ツカワセテ 貰う」


 ドルフィネはそう呟くとゆっくりとカイザたちが走り去った道を辿っていった。



「カイザ君、これからどうするの?」


「とりあえず村の皆を集めて事情を話すつもりさ」


「元凶について私も聞いていい?」


「うん。元凶は謎の仮面を被った霊みたいに肉体をもたない何かだった」


「それって霊じゃなかったんだよね?」


「あぁ、霊であれば私の持つ力で捕らえることができたはずだったんだ。でも、できなかった」


「それじゃあそれが何かわからないんだ」


「そうだね。でも通常の状態では存在が危うい何かだとはわかったんだ。私の使った何かしらに干渉者してその存在を保っている感じがした。どうやって生きている人間から魂を奪ったかはわからないけれど、これ以上被害者が出る前に何か手を打たないといけないんだ」


「そうだね。村に戻ったらどうするの?」


「そうだな~まずは村を守っている魔生物避けの結界に手を加えようと思う。空間魔法に干渉できる奴だ、結界に干渉して悪さを働いていた可能性が高い」


「私にできることはある?」


「ミスティは被害にあった人の共通点を探してほしい。奴も手当たり次第に手を出していたとは違うと思うんだ」


「わかったわ」


 カイザ君と軽く打ち合わせてこれからやる方針を定めた。カイザ君の必死な表情は今まで見た中で一段と輝いていた。


「皆さん聞いてください!」


 カイザ君は村に着くなり普段出さないような大声で村人たちへ呼びかけていた。


「どうしたのかい、霊干渉者ダイストカイザ殿」


「村長、お話があります」


 集まった中で一番偉いこの村の村長に事の事情を説明し協力を仰いだ。私はその隙に被害者らの特徴などをリサーチしていた。普段から他人とあまり関わろうとしていなかったからか人との会話はあまり得意ではなかったけれどカイザ君のためにどうにかこうにかがんばった。得られた情報によると今回の被害者に共通することが一つだけあった。それは類まれなる魔法の才があるという点だ。この世界の人は生まれつき魔力をもって生まれる。元の世界では考えられないけれど人によっては水の無いとこから水を生み出したり火の球を発生させたりできるやつだ。私も一般的な人を基準に考えると魔力をもっているほうらしい。魔法の使い方はその持つ属性ごとに異なるため、教える人と一致しなければほぼ独学となるため私はほとんど使ったことはなかったが得意なものはそれをうまく扱っていた。


「ミスティ、どうだった?」


「カイザ君、被害者の共通点は大体絞れたよ。考えられることは沢山あるけど多く一致したのは皆魔法の才があるものだってことね」


「魔法の才か…」


「カイザ殿、どうされたのですか」


「村長、いえ今回被害にあった者の共通点を私の妻に探してもらったのですが、皆魔法の才があるものだってことが分かったんです。しかし、奴は魂がどうこう言っていたんですが…魂と魔法の才に何か共通点があったかと思いまして…」


「なるほど…魔力は神秘の結晶、それが強いものは魂も気高きと過去の長から聞いた事がありますぞ。その賊が魔法の才があるものを狙うのはより質の高い魂を求めていたのではありませんか?」


「なるほど…それなら納得できる。では、次なる標的は今いるものの中で魔法の才があるものとなりますね。ミスティ、それが誰か調べてくれ」


「うん。でも、どうやって比較するの?」


「そ、それは~」


「カイザ殿、現在村にいるもので魔法の才が高いものはあなたの妻であるミスティ殿ですぞ」


「え?!村長、それは本当ですか?」


「うむ。儂も独自に原因を探していて色々と調べておったのよ。で、カイザ殿らの話を聞いて確信を得ました。先日亡くなられたルドー殿のご息女の次に狙われるのは…ミスティ殿…あなたになるかもしれぬ」

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