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守霊界変  作者: クロガネガイ
第一部
44/145

防衛策

 謎の仮面との攻防は続いていた。もう奴に対する手立てはほとんど持ち合わせていなかったが、引くという選択肢はなかった。


「こうなったら…これしかないか」


 一か八かの賭けだがまだ一つだけ希望があった。それは幽世カクリヨを解除することだ。幽世カクリヨを解除してしまえば連鎖して現世ウツシヨも消滅してしまう。そのため中に匿っているルドーさんらを無防備にしてしまうがこれしか手段は残されていなかった。イーリアさんを見捨てたり、差し出すというわけではなく、謎の仮面の存在できる場を奪うという目的でこれを行う。奴は捕縛のタナトスで縛ることができない存在だ。それが意味するのは霊ではない別の何かであるということだ。捕縛のタナトスは霊のほかにも肉体があるものも縛ることができるのだがやつは捕らえることができなかった。それが意味するのは奴は霊でも生者でもない何かということだ。普通、霊とは私のような特殊な体質でない限り干渉できない、幽世カクリヨ内では普通の者が霊と干渉できるようになっているので謎の仮面もそれに乗じて何かしようとしていたのだろう。だから、まずイーリアさんに干渉できないように幽世カクリヨを閉じる、それがイーリアさんを守ることにつながるのだ。


「箱庭は閉じ去り全ては無に帰す。閉じよ!幽世カクリヨ、そして扉は今一度開かれる、未来さきへ帆を進めよ!現世ウツシヨ


「ナ、キサマ…」


「ルドーさんには申し訳ないがイーリアさんの魂を強制的に返還する。流石の君も天から魂をどうこうできるわけではないだろう?」


「ウグゥゥゥウ」


 幽世カクリヨの消滅と同時に現世ウツシヨも消滅した。つなぎ留めていたものがなくなり、イーリアさんの魂は天へと帰っていった。謎の仮面は苦しみだして段々と姿がおぼろげになった。


「こ、ここは…カイザさん、ご無事だったんですね。あれ?イーリア!どこにいってしまったんだい」


「ルドーさん、すいません。イーリアさんには天へと帰ってもらいました」


「なっ…なんでだい?」


「奴も天からはその魂に干渉できないと思ったからです。奴から守るためとはいえ依頼を達成できず申し訳ございません」


「奴はどこへ?」


「わかりませんが、奴自身の姿を保つために私の作り出した空間を利用していたみたいで、いまはそれがなくなり、姿を保てなくなったのかもしれません」


「そうかい。イーリアとの別れがきちんとできなかったのは惜しいが奴に何かされるよりはいいか…」


「私が考えるに最近起きていた急死現象と霊干渉ができないことに今回の件が関係しているのだと思われます。奴は何らかの手法を取り、生者から魂を抜き取りそれを奪い去る。魂の無い霊を呼び寄せることはできないので私の霊干渉に霊が応じてくれなかった…そういうところでしょうか」


「ってことは奴のせいでイーリアも亡くなったというのかい?」


「あくまで憶測でしかありませんが奴は初めからイーリアさんを狙っていました。それが確たる証拠かと…」


「そ、そんな…」


「すいませんが私はここで失礼します。依頼に関しては未達成ということで報酬もなしで構いません」


「カイザさん、今からどこへいかれるのですか」


「村にもどり奴が何か仕出かさないか警戒しようと思います。私の力では奴を捕らえることはできませんが妨害くらいにはなるかと…」


「わかりました。お気を付けてください」


「えぇ」


 はやく村に戻らなければいけない。他のものが奴のターゲットになるかもしれないし、なにより家に残してきたミスティが心配だ。私は軽く準備を整えて村へと急いだ。


「ワガ モクテキ ジャマ ユルサナイ モット チカラ イル ニクタイ ホシイ」


 一刻もはやくもどることに意識を向けすぎて、背後を追従する黒い靄に私は気づくことはなかった。



「カイザさんのとこまであとどれくらいですか?」


「も、もうすこしよ」


「いや~楽しみだねぇマリィ。カイザさんに認めてもらって霊干渉の力を手に入れれば君とお話ができるようになるね」


 ドルフィネに強引に連れられルドーさんの家へと向かっていると先のほうから移動用に飼育されているヘッドランナーに跨ったカイザ君を見かけた。


「カイザ君!」


「ミスティ!どうしてここに…ん?君は誰だい」


「お初にお目にかかります。自分はドルフィネといいます。カイザさん、あなたの弟子になりたくて探していました。奥さんには道案内をしてもらっていたところです」


「そうかい、すまないがその話はあとにしてくれないか?今は一刻もはやく村に向かわないといけないんだ」


「どうしてですか!僕は一刻もはやく霊干渉者ダイストになってマリィと話したいんです」


「最近巷で起きている急死現象の元凶と思われるものと遭遇した。奴が他のものに手を出す前に防衛網を築かないといけない」


「急死現象に犯人がいたの?」


「ああ、敵は人でもなく霊でもない得体の知れないものだ。私の力でも捕らえることはできなかった。だから、次なる犠牲者がでるまえにできることをやろうと思うんだ」


「私も手伝うわ。カイザ君のような力は持ってないけどみんなの誘導くらいはできるもの」


「わかった。手を貸してくれミスティ」


「いいわよ!」


「と、いうことだ。弟子入りについてはこの件がひと段落してから話し合おう。さぁ、ミスティこっちへ」


 カイザ君が差し出した手を取りヘッドランナーに跨る。カイザ君が支持を出すとヘッドランナーはドルフィネを置き去りにして村へと走り出した。

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