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守霊界変  作者: クロガネガイ
第一部
32/145

発現

「さすがにきついな」


 人面鳥の猛襲を受け続けて数分が経過した。ベリルさん仕込みの体術とスパルタ特訓で得たスタミナでどうにかこうにか耐えている。だが…


 キェェエエエ!


 疲れによる集中力の切れ目に運悪く人面鳥の突進が直撃する。


「うぐっ」


 一度攻撃が当たるとできていた流れが一瞬にして崩れ次々に人面鳥の攻撃が命中する。嘴がないのでついばまれることはないが人の頭で全身を殴打され全身に鈍痛が広がっていく。


 キェ!キェ!キェ!


 一羽が短く三回鳴いた。すると俺に対する突進頭突き攻撃が止んだ。奴らの静止の合図か何かだろうか?一時的ではあるが助かった。まだ窮地に立たされているのには変わらないけどね。


 キェ~~~?


 人面鳥の群れの中で一番大きな個体がゆっくりと近づいてきた。俺の胴体を足蹴にしながら俺の顔を覗き込んでくる。勝ちを確信した悪い顔だった。これからどう料理してやろうかなんて声が聞こえてきそうだな。普通の鳥であったならばわからなかっただろうがこいつらは人面鳥で、人間の顔がついている。表情で何を考えているのか分かるからなんかムカつくんだよな。


 キェキェ!


 今の俺は大きい個体三羽に抑え込まれ身動きが取れない状態だ。リーダー格の人面鳥が命令を下したのか俺から離れると同時にこいつらが乗っかってきた。


 キェーーキェキェキェ


 最初のやつだろうか俺を見下して高笑いしている。一羽では何もできなかった癖に調子に乗っているみたいだ。ムカつくが体を抑え込まれてどうにもできない。


「くそっ、どうすれば…」


『またしてもか。お前の力はそんなものか?』


 なんだ…聞いた事のあるような声が頭に響く。確かこの声は…ビーインフィニティと闘っていた時に聞いた声か?


「誰なんだよ。お前は…」


 キェ?


『しょうがねぇ主様だな。前回と合わせて二度目か、前よりはちったぁマシになったみたいだし今なら使いこなせるか…』


「使いこなせる?一体なにを言っているんだよ」


 キェエエエエエ!


「うぐっ、痛ぇって」


 人面鳥が俺が話をすることにイラついたのか攻撃を再開してきた。この意味わからねぇ声のせいだろ絶対!


『今こそ発現せよ。オレの力、今度こそ己で使いこなして見せろ!』


 ドゥン!!!


 俺を中心に衝撃波が起こった。だが、不思議と痛みはなくただ周囲を取り囲んでいた人面鳥たちが吹き飛んだみたいだった。体が自由となり立ち上がって周囲を確認する。特に爆発とか起きたわけではなさそうだが…この衝撃波は一体なんだ?


 キェエエエエエ


 怒り狂った人面鳥たちが態勢を整えて攻撃しようと構えている。ただ吹き飛んだだけか、何かの間違いで倒れてくれてたら良かったんだけどな。そんなことを思いつつ手甲鉤ハンドクローを構える。ん?なんだこれ。構えて気づいたがなんか手甲鉤ハンドクローが橙色の靄みたいなのに覆われてる。どうなっているのか気になるが今はそれどころじゃないな。我先にと人面鳥の大きい個体三羽が凸ってきた。


『爪を振るえ!』


 またさっきの声かよ。そんなこと言われなくても身を守るために手甲鉤ハンドクローで応戦するっての!


 ブンッ!


 勢いをつけて右手につけた手甲鉤ハンドクローを飛んでくる三羽に向けて振るう。右から弧を描いたような横凪で一網打尽を狙う。


 ザシュッ


 右手に確かな重みと感触が伝わる。クリティカルヒットしたみたいだな…これで三羽まとめて倒せたかな。右手はそのまま勢いに任せて振り切った。感じていた重さが手から無くなり前方に飛んでいくような感覚がした。野球で飛んできたボールを打ち返すみたいなやつだな。

 反撃を受けて他の人面鳥のもとへ返された三羽の行方を確認しようとその飛んだ先に目を向ける。すると…


 ザシュッ ザシュッ


 キェエエエエエキェエエエエエ


 目に映ったのは打ち返した三羽を起点とした斬撃の嵐だった。周囲にいた人面鳥を巻き込み次々と血飛沫が舞う。なんかちょっとした地獄絵図だぞ、これ。人面鳥たちは何が起きているのか分からずキェエエと鳴き叫びつつ次々と倒れていく。


『やったようだな。完璧とは言い難いがまぁ~及第点といったところか』


 頭の中にさっきの声が響いた。一体なんなんだよこの声!


「おい!あれはなんだよ。それとこの手甲鉤ハンドクローにかかった靄も!」


『それはお前を守るための力だ。お前の守護精霊たるオレの力の一端さ』


「守護精霊?なんだよそれ」


『そこからか…よし、この空間はなぜか安定しているようだしお前にオレら守護精霊…略して守霊のことについて教えておこう』


 頭の中に響いていた声が遠のく様に聞こえなくなった。幻聴にしてはリアルすぎたよな?それより、さっきの斬撃の嵐はどういう原理で起きたんだよ。俺が薙ぎ払った三羽を起点に起きていたように見えたが…まさかあの橙色の靄で覆われたもので攻撃したら炸裂するみたいな効果が付与されるとかじゃないよな?謎の声も聞こえなくなったし説明責任を果たしてくれよ。あの声、ビーインフィニティの時にも聞こえたし、俺がビーインフィニティを倒したのってさっきみたいな橙色の靄の力だったりするのか?もう、分からないことばかりだよ!

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