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守霊界変  作者: クロガネガイ
第一部
19/145

魔力

「ケント!武器ってのはなーしっかり手入れしてやんねーといざというときに使えないんだぜ。どんな業物も手入れがなっていなけりゃそこらの鈍と変わらないんだ。そこんとこ肝に銘じておけよ」


「はい…」


 ギルド加入の手続きを終えてギルド【ガベラ】のギルドハウスへと戻ってきた。荷物を置いて休憩かと思われたが、ベリルさんに呼ばれて今に至る。ベリルさん曰くクエストで使用した武器はしっかりと手入れをしてから収納しなければならないとのことで、手が使えないベリルさんの代わりに手甲鉤ハンドクロー手甲剣ジャマダハルの二つの手入れをすることになった。


「こんな感じでいいですかね」


 武器の手入れなんてやったことないし、とりあえずビーインフィニティの体液に塗れた刀身を布で拭って見せた。


「お前、舐めてるのか…それで手入れが済んだとでも言いたいのか?」


「俺、手入れなんてしたことないんですって、どうすればいいんですか~」


 下手に言い合っても怒られるだけになりそうなので素直に教えを乞う。知らないのは本当だしな~


「マジかよ、なら最初から教えてやる。次はねぇーからしっかりと覚えろよ。忘れたら転がすからな」


「はーい」


「まずはだな~お前がやったように刀身についている汚れを綺麗に吹き去る。まぁ、これはできてるな。で、次だ。この手甲鉤ハンドクロー手甲剣ジャマダハルってのは魔力鉄ってもので作られている。この魔力鉄ってのは元々は石みたいなものなんだが、鍛冶師によって魔力を込めながら鍛えられることで鋭利な刃物へと変わるんだ。だから、ある程度魔力がないとその切れ味も薄れちまうってわけだ」


「魔力ってガリズマさんが使っていた魔法の元みたいなやつですか?」


「そうだ。まぁ、魔力は個人差はあれど誰でも持っているもんだ。多いやつはそれを練り上げて魔法として放出できるわけだが~俺はそこまで魔力はねぇからガリズマのような芸当は無理だな。でも、武器の手入れにそこまで魔力は使わねぇし、魔力を持っていない奴のためにこんなものも用意されてんだぜ」


 ベリルさんが懐から何かの瓶を取り出して見せてくる。


「これって何ですか?」


「魔力油だな」


「魔力油?…なんですかそれ」


「微量の魔力を帯びた油だ。魔力鉄に込められた魔力は時間が経つとともに少しずつ漏れ出してくる。それの防止と魔力供給にピッタリなのがこの魔力油ってわけだ。ほら、汚れは吹き去ったんだろ?あとはこれを刀身にムラなく塗りたくれ。塗り終わったら手入れは終わりだ」


「なんか思っていたより簡単ですね」


「お前、その言葉忘れるなよ。簡単なことでも何回もやってりゃその大切さがわかってくるもんだからな。一度でも忘れたら転がす」


「わかりましたって~」


「ならいい」


「あ、そういえば魔力をどれくらい持っているかって調べる方法とかあるんですか」


「ん、ありはするがそれがどうかしたか?」


「いや、俺がどれくらい持っているのか気になったんで、調べる方法があるなら試したいな~って思いまして…」


「まぁ、そうだな。調べておいて損はないな。俺並みにあるなら念話も教えてやるか」


「念話ってなんですか」


「念話ってのは魔力を使って口から言葉を出さずに他者と意思疎通を可能にするもんだな。これが使えればラーシャルドとも話せるってわけだ」


「あ~なるほど。ラーシャルドさんの考えていることが分かっていたのってその念話ってやつで話してたからなんですね~」


「そうだな」


 念話か~そういえば漫画とかでそういうのあったな。テレパシーとかそういう感じのやつ!敵との戦闘中に念話で意思疎通して作戦を立てて連携するっての。確かにそういうのがあったら便利だよな~お互いの情報を秘密裏に共有できるのはチームプレイにおいて必須と言っても違いないよな。


「んじゃ、魔力の測定といくか~ガリズマ~魔水晶ってどこだっけか」


「なんだいベリル?そんな急に」


「こいつが魔力の測定をしたいんだと…俺並みにあれば念話も使えるようになるし連携にも使えるんじゃね」


「そうだね。ちょっと待ってくれるかい。持ってくるよ」


 ガリズマさんは急ぎ足で自分の部屋へと駆け込みゴソゴソと何かを漁っている。数分後…


「あったよ。これだね」


 ガリズマさんが手のひらサイズの透明な水晶を持ってきた。


「よし、ケント!両手でこいつを持って俺の言う言葉を復唱しろ」


「はい、わかりました」


「我が魔なる力よ、満たして見せよ。その彩光ひかりをここに…」


「えーっと、我が魔なる力よ…満たして見せよ?その彩光ひかりをここに…であってますか?」


 詠唱を終えると同時に水晶が光り輝いた。


「うっ、眩しい」


 暫くその光に照らされていた。輝きが収まり水晶を見ると受け取ったときと同じ透明のままであった。


「あの~わかりましたかね?」


 そういえばこの検証方法について全く聞かずにやったけどどうなればどれくらいの魔力を持っているってなるんだろうな。その基準を知っているのはガリズマさんとベリルさんだし二人に尋ねるしかないわけだが…二人は黙ったまま何とも言わない。何かあったのだろうか?もしかして規格外の魔力に驚いて何も言えなくなったとかか~異世界ならそういうのあってもいいよな?


「ベリルさん、ガリズマさん、俺の魔力って~もしかして…」


「ケント君、君の魔力は~」


「魔力は~?」


「んなもんねぇ!ゼロだよゼロ!こんなことってあるのか…なぁ、ガリズマ…お前何か知ってるか」


「いや、私もこんな結果は初めてだよ」


 え…ゼロ?魔力がゼロって言ったのか?さっきベリルさんは魔力はだれしもが持っているって言ったけど俺はゼロですか…そんなのありですか。

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