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守霊界変  作者: クロガネガイ
第一部
18/145

ギルド【ガベラ】

「よし、それじゃあ朝ごはんでも食べようか」


「そうですね」


 ガリズマさんの後をついていき食卓につく。既にラーシャルドさんがいて一人黙々とパンモドキを食べている。食卓には四つ皿が用意されており、その上にパンモドキと何かのゆで卵がのせられていた。一つはラーシャルドさんが食べていてほとんど残っていなかった。


「ベリル~朝ごはんだよ。はやくきて食べよう」


 ガリズマさんがベリルさんの部屋の戸を叩き、食事に来るように催促する。


「わぁったよ。今行くから先に食ってろ」


「うん、そうするよ」


 ベリルさんの返事を聞いたガリズマさんは催促をやめて自身の席につき、パンモドキを食べ始めた。俺も適当に腰掛てパンモドキを手に取りかぶりついた。咀嚼して飲み込むたびに腹部に痛みが走るが空腹もあったため我慢して食べた。

 数分後、ベリルさんが何かの瓶を持って食卓に来た。


「おいおい、先に食ってろって言ったがこれ無しに全部食べるつもりだったのか?」


 そういいながら、手に持っていた瓶の蓋を開けて食卓の中央に置く。それは金色に光り輝くドロドロとした液体だった。


「ベリルさん、これって~」


「おうよ、これはバーハニーだぜ。ギルドに提出する前に俺らが食べるように少し拝借しといたんだ。まぁ、とりあえず今食ってるのにこれを塗って食べてみな、飛ぶぞ。あのビーインフィニティのように素早くなってか」


 ゲラゲラと高笑いをしながらバーハニーを塗ったパンモドキに噛り付くベリルさん…この人いつの間にそんなことしてたんだよ。てか、腕折れてんのに器用に食ってんな~


「ベリル、君ってやつは~今回だけだよ。実は私も食べるのは初めてで興味があったんだ~これくらいかな…」


 ベリルさんに続いてガリズマさんも自分のパンモドキにバーハニーを塗り始めた。先に食べていたラーシャルドさんの皿にはパンモドキがすでになくその光景を見ているだけだった。


「あの~ラーシャルドさん、これどうぞ」


 流石にみんな食べてるのに一人だけってのは可愛そうなので俺の分のパンモドキをひと切れ渡した。ラーシャルドさんはそれを手に取るとたっぷりとバーハニーを塗りたくり頬張っていた。

 さてと、俺も食べてみようっと…バーハニーの入った瓶にはあと少ししか入っていなかった。瓶にパンモドキをこすりつけるようにバーハニーを拭い口へと運ぶ。


「うまい…」


 ただ一言、今思ったことが出てしまっていた。「うまい」って他にいうことないのかよって思うかもしれないがただその一言が真っ先に出た。人間、本当にうまいものを食ったらうまいとしか言えないんだなって思ってしまうほど旨かった。まぁ、どういう風に旨かったっていうと~嚙みしめるたびに様々な甘さが口全体に広がり癖もなくスルっと飲み込める感じ…かな。食レポなんてやったことないしこれが限界だね。色んな甘さってのは複数種類の花の蜜を集めて混ぜ合わせているからなんだろうけど混ぜたあともそれぞれの味が喧嘩せずに生きているってのが凄いよな。気づくと皿にのっていたパンモドキをぺろりと平らげていた。


「ふぅ~美味しかったね」


「だな」


「そうですね~」


「よし、腹ごしらえも済んだとことでみんなでギルドホールに行こうか」


「ギルドホールですか…新しいクエストを見に行くとか?」


「いやいや、違うよ。今回はケント君のギルド加入手続きをしにね」


「あ~なるほどです」


「ケント、俺らのギルドに入るってんなら前以上にビシバシ行くから覚悟しとけよ~油断してるとまた転がすからな」


「はい、よろしくお願いします。そんなベリルさんこそ~油断してると足元掬いますからね」


「へっ、言ってろ」


「ほら、みんな準備して!」


「あいよ」「はい」


 皆、支度を済ませてギルドホールへ向かう。ここで登録を済ませば晴れてギルドの仲間入りとなる。この上ない喜びだ。一人異世界に放置された俺に仲間が…少し泣けてくるかも~

 ギルドホールに向かっていると何やら街の人の視線が痛い。前にもこんなことあったっけな~その時はトーナが目を引いたんだろうけど、今回はお留守番してもらってるから何がそんなに注目を集めているんだろうか。もしかしたらガリズマさんたちってかなり有名だったりしてな。そんな人たちの仲間になれるなんて凄すぎるよ。浮かれ気味に歩いていたらギルドホールに到着していた。扉を開けて受付の女性にギルド加入の話をする。受付の女性は何かしらの書類を持ってきてペンとともに渡してきた。


「ケント君、これに署名すれば加入手続きは終わりだよ」


「はい…あの~すいません、受付のお姉さん、また代筆お願いしてもいいですか?」


「はい、かしこまりました」


「おい、ケント…お前って文字も書けないのか?」


「えーっとですね。ここらで使っている文字を知らないですよね~はい」


「マジかよ…おい、ガリズマ!」


「そうだね。文字の読み書きは必要になってくるから私が教えようか」


「そうしていただけるとはい…助かります」


「お話し中失礼します。冒険者資格証をお貸し頂けますでしょうか」


「はい、これですね」


 受付の女性に冒険者資格証を渡す。受付の女性はそれに何かを書き足しているようだったが何かはよく見えなかった。


「こちらを、これにてギルド加入の手続きは完了となります。お疲れ様でした」


 受付の女性から冒険者資格証を返してもらった。特に何か変わったかわからないけどこれで俺もギルド【ガベラ】の正式な一員ってわけよ。

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