刃が答えてくれる
「鬼姫、百目鬼についてだがこいつを俺に預けてくれないか?」
「預けたとしてどうするさね?」
「来るべき決戦に向けてこいつには十分な実力をつけてもらう必要がある」
「来るべき決戦ねぇ~それはこの村を襲った奴らと同じ輩がまだいるということさね?」
「あぁ、そういうことだ」
ウィードは真剣な表情で鬼姫を見ていた。その様子からはどのような返事が返ってこようとも己が意思を貫くといった雰囲気がでていた。
「だめだともよいともあたしからはいうまいて…どうするかを決めるのは百目鬼自身さね」
「確かにそうだが…百目鬼の恩人であるあなたから背中を押す一言があれば百目鬼も気兼ねなく旅立てると思うんだ」
「アタシからの一言がそんな大それたことになるとは思わんさね。あーでも、アタシの言葉で奮い立つような単純な頭をしているのなら有効な手さね」
鬼姫はウィードの提案にすこし考える素振りを見せその言葉に納得を示していた。
「しかし、この話も百目鬼が目を覚まさないとこれ以上は進まないさね。いつになったら目覚めるさね」
「それは…俺にもわからん」
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「俺は…どうなったんだ?」
なんだか体がふわふわしてる…変な感じだ。俺は俺なのに俺じゃないみたいな感じ。ってなに意味わかんねぇこと考えてるんだ。敵は?戦いはどうなったんだよ。俺は守霊の力で鬼姫を守れたのか?それとも…
『そんなに考え込むでない』
「誰だ!?」
頭の中に直接声が響く。聞き覚えのない声だ。こんなよく分からない状況で一体誰が話しかけてくる?まさか敵の新たな能力かなにかだろうか…
『もう一度いうよ、考えちゃダメッ!』
また声が響く。さっきとは違う声だった。最初の声はどちらかというと男っぽい声で次に聞こえたのは女っぽい感じだった。まぁ、そのように聞こえたってだけでその声の主が誰かはわからない。
「考えるなってじゃあどうしろっていうんだよ!お前らは誰なんだよ!鬼姫や皆は大丈夫なのか?」
『ねぇ、先に落ち着かせないとダメじゃない?』
『そうであるな』
頭の中に響く二つの声が何やら話し合っていた。
『百目鬼殿よ、貴様の問いに答えよう。まず、我らが何者なのかについて…まずは我、名を殴剣という』
「殴剣?それって俺の…」
『で、私は~打刃!よろしくね♪アタシたちは二対一体のあなたの守霊、殴剣打刃よ』
守霊…まさかこんな形で話すことになるなんて…拳斗君が自身の守霊と話せてたみたいに俺にもできたんだな。
「なんで今更なんだよ」
『今更?』
「どうしてもっと早く話すことができなかったんだよ!俺がしねばお前らも消えるんだろ?だったら俺がしなないように拳斗君の守霊みたいに現れてもよかっただろ!」
『それね~できればそうしたかったよ。でも、できなかった』
「できなかったって…今は出来てるじゃないか!」
『我らは二対一体、他の守霊とはすこし風変わりなものなのだ。それ故に主にはそれ相応の力が求められる。だが、その力を主殿はもちえてなかったのだよ』
「俺の力不足が原因だってか?無力な弱者にはその守る力さえも使えないってことかよ」
『そうではない。我らという存在が確立しえなかっただけのことよ』
『そーそー私たちとしてはね~主君を守ろうっておもってたんだけど~この世界にそれを邪魔されてて大変だったんだから!』
「邪魔…か…」
『まー今はこうやって主君とも話せたしとりまいいかな~って』
『打刃、その態度は改めるべきだと思うぞ。主殿の手前、無礼すぎる』
『別に良いじゃん、折角話せるようになったんだし!世界の制約やらなんやらでコンタクトをとることさえも厳しかったんだよ?でも、今はそれがないわけだしやりたいことやっていいじゃん♪』
「それはどういうことなんだ?」
『えーっとねーよくわかんない!殴剣、説明よろー』
『はぁ、我も詳しくは知らぬが守霊である我らは実態というものを持たぬ。主殿の肉体に宿る"存在"であるだけだったのだ。故にこのように言葉を介すことさえも困難なことであった。だがしかし、それがすこし前に変質してしまったのだ。実態がないのは変わらぬがただの存在でしかなかった我らが守霊という存在として確立したのだよ』
「えーっとつまりどういうこと?」
『うむ、要するに認識できる存在へとなったということだな。まーこれに関しては我もよくわかってはおらぬ。主殿に何かしらの変化があったのかも知れぬが真実は謎のままであるな』
『もーそんな難しいことはべつにいいでしょ。それよりもっと主君と話しちゃいたい』
『そうわがままをいうでない。我らは主殿を守るもの、気安く話しかけることさえ烏滸がましいことであるぞ』
「あの~そんなに畏まらなくていいよ。俺も君たちに守ってもらえるだけの存在とはいえないし…ただの無力で不器用なやつ」
『主殿』『主君』
「はい?」
『弱音を…はくでない!/はいちゃだめ!』
「は、はい!」
『たとえどのようなものであれ我らが主』
『別に弱いとかかんけーないし』
『力がなければ我らを』
『そうそう、アタシらが主君の力になればよくない?』
『だから主殿よ…よろしく頼むぞ』『ヨロシクね』
「うん、よろしく。君たちに恥じないように頑張るよ」
『うむうむ、その調子だ』




