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守霊界変  作者: クロガネガイ
第二部
131/145

転生者に問う①

「で…それはどうするつもりだ?」


 転がったダライの首を指差してウィードが首をかしげる。


「そりゃあ、奪われた記録っていうのを取り返すんだろ?」


 ベリルさんがその問いに何言ってんだこいつってな感じで返事をした。


「その方法は?」


 ベリルさんの態度など気にせず、ウィードは真顔で尋ね返してくる。


「そ、それは~だな…俺らよりおまえらのほうが詳しいんだろ?なっ、ケントそう思うよな」


「え?あ~どうでしょう…」


 なんとなく動いた結果で体の封印はできたもののどうやって奪われた記録を取り戻すかについては全く考えていなかった。なんとなく途中参戦してきた神楽とウィードとやらがそのあたり詳しそうだから丸投げしてりゃあ大丈夫だろうと思ってさえもいた。


「まぁ、そのことについてはゆっくりと考えるとしよう。体の封印は成功した。頭だけでどうこうできる力もないだろう」


 そう言ってウィードが地面に転がるダライの首を持ち上げる。なんか臭いものをもつような感じで眉間に皺をよせ指二本でつまみ上げる感じで持ち上げていた。ま~確かに一応敵の体の一部で血塗れなわけだけどその持ち方は…って思った。

 だけど次の瞬間、その持ち方であっていたと知る。


 ヴゥアアアアアアア


 ウィードが首を正面に向き変えた直後、その首が勢いよくウィードに襲いかかってきた。幸いその雑な持ち方のお陰か直ぐ様手放し、落下するそれを今度は足で蹴り飛ばしていた。


「全く、油断も隙もありはしないな。注意しておいて正解だった」


 先程のウィードの所作は万が一に備えたものだったと今気づいた。首だけになったとはいえそれが襲ってこない保証はないのだ。


「首だけになっても動くのか…面倒だな」


 蹴り飛ばされた先でジタバタともがいている。起き上がる術をもっていないため暫く足掻いた後何もなかったように沈黙してしまった。


「あれのことはひとまず置いておこう。まずは…そうだな~自己紹介からするとしよう。俺はウィードという…転生者だ」


「転生者!?君も」


「ん?それはどういうことだ。君もだと…俺以外に転生者がいるというのか?」


「あ~うん。俺の知り合いにね」


「そうか…」


 俺の返答を聞いてすこしの間ウィードは考え込んでいた。


「あ~もう、自己紹介が済んだなら私に変わってよ~」


 そんな彼の背に神楽と呼ばれた少女が飛びかかっていた。


「……」


 少女一人に全力でぶつかられたというのにウィードはびくともせず佇んでいた。体幹が凄いのか少女が手加減したのかわからないがこの二人の関係はどういうものなんだろう。


「うん。細かいことは考えるだけ無駄だな。単刀直入に聞こう。君たちはアレについてどのくらい知っている?」


「アレって?」


「そこに転がっている奴らについてだ。その転生者から情報は得ていないのか?」


「あ~えっと…」


 正直なんと答えるべきなのかわからなかった。奴らってダライとか~ガンサクとかのことだろうか?それらが関係しているかもわからないが同様の惡であることはわかる。転生者…梨衣りいは確かにミスティとしてこの世界に生まれたけど色々あって今は俺と同じ転移者みたいな感じになってるし…情報についても何もわからない。なんと答えるべきか…


「あー!安仁屋ってば私のこと無視した~ひどいしっ」


「だから安仁屋じゃねぇって言ってるだろ。そいつはもういねぇ」


「安仁屋は安仁屋じゃん。いなくなっても私にとってはそうだもん」


 戦闘中にもみた光景だがまた二人がよくわからないことで言い争いを始めた。話の内容からしてこのウィードと名乗った男は安仁屋とも言うらしい。その名がおそらく転生前のものだろうが確証はない。


「なぁ、そのアニヤってのはなんだ?」


 ベリルさんが皆の疑問を代表として聞いてくれた。別に聞いてもよかったがなんとなく構成されていた二人の空間に入るのが憚られた。


「あぁ、気にしないでくれ。些末なことだ」


「安仁屋ってのはねー」


「おい!」


「えーいいじゃん。減るもんじゃないしー」


「過去の話だ。掘り返すな」


「それでー安仁屋っていうのは~ウィードとなる前の名前なんだよ~」


「はぁ?名前でも変えたっていうのか?」


「ほら、面倒なことになる。すまないがこの話は忘れてくれ。大したことじゃないんだ」


「面倒なことか…そこまで言うなら聞かないでやるよ」


「そうしてくれると助かる。それとすまないがあなたには一度席を外して貰いたい。そこの彼と百目鬼と話したいことがある」


「あーわかったぜ。内緒話ってのはすこし気になるが面倒なのはごめんだからよ」


 ベリルさんはそういって離れていった。


「さて、自己紹介の続きといこうか。百目鬼はともかく君について聞いておきたい。君は一体なにものだ?」


「俺は…霊仙拳斗れいせんけんとっていいます。転移者ってやつだと思います」


「なるほどな。君も百目鬼と同じく転移者なのか…しかしおかしいな。俺は君の存在を知らない。これがどういうことなのか…」


「あのーそれってどういうことですかね。あなたが転生者であることも百目鬼と知り合いであるということも謎ばかりなんですが…」


「ねぇねぇ、私の名前…聞いてくれない?」


「え、あーお名前を聞いても?」


「うんうん、よくぞ聞いてくれましたー安仁屋と違って君は話のわかるいい子だね♪私はね~千石神楽せんごくかぐら!呼び方は好きに呼んでもいいけど~神楽ちゃんって呼んでくれると嬉しいなっ。それでこっちが紅蓮グレン♪」


 ワンッ


 神楽に持ち上げられた子犬が元気に返事をした。


「あ、うん。神楽ちゃんよろしく」


「うん、よろしくー」


 なんか一際テンションがブッ飛んでるな…それに対してウィードの落ち着きようは対照的だ。


「神楽、話がそれる。すこし黙ってろ」


「あーまた安仁屋だけ話すんだ~あたしにだって喋らせてよ」


「お前は百目鬼と一緒にそこに転がってる首を見張っていてくれ。百目鬼、頼めるか」


「うん。特に何かをしなくてもいいの?本当にただ見とくだけってわけじゃないよね」


「あ~そうだな。武装だけはそのまま維持してくれ。あとはそいつが何かしないか注意してくれればいい」


「わかった」


「もう、安仁屋が相手してくれないんだったら百目鬼君に構ってもらおーっと」


 百目鬼と神楽はすこし離れたとこに転がっている。ダライの首の側にいき何か話し出した。話し出したっといっても一方的に神楽が話しているように見えたが今は気にしないで置こう。


「あの、聞きたいことが山ほどあるんですが…」


「あぁ、俺に話せることなら話そう。その前にその敬語はやめてくれ。みたところあまり歳も変わらないだろうし仲を深めることにおいてそういったものは取り払っていくのがいい」


「わかった。それじゃあまずは…」

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