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守霊界変  作者: クロガネガイ
第二部
129/145

謎の救世主

「ぜーったい逃がさないんだから!」


 突如聞き覚えのない声がした。逃走をはかるダライに指を咥えてみることしかできなかった俺らのすぐそばを颯爽と駆け抜ける者が二人…


「神楽、ヘマすんじゃないぞ」


「わかってるって~安仁屋こそちゃんと決めてよね」


「安仁屋じゃねぇ、ウィードと呼べといっただろ。まぁ、いい。いまは…」


 援軍?でも、みる限り俺らと変わらない常人ジェネのようなんだよな~冒険者かなにかだろうか。俺は風のこどく疾走する彼らを見てそんなことを思った。今の状況において彼らに何ができるかはわからない。でももし彼らがダライの逃走を止めることができれば奴をどうにかする手立ては考えられる。淡い期待なのかもしれないが今はこの希望の光に委ねることしかできなかった。


「神楽、あの鎧を砕け!」


「はいはーい。それじゃあ~いっくよ~」


 神楽と呼ばれた女は腰に携えていて短刀を抜くと共になにかを呟いた。するとどうだろうか、彼女の短刀が姿を変え子犬があらわれた。


紅蓮グレン!噛み砕いちゃって~」


 彼女の命令を聞いた子犬はその命令に従い完全防御態勢のダライに飛びかかった。


「なぁ、ケント」


「どうしました?」


「あんなんで壊れると思うか」


「わかりませんけど~厳しいんじゃ…」


 ベリルさんとともに目の前で繰り広げられる光景を見つめる。

 神楽と呼ばれた女が召喚した子犬が完全防御体勢のダライにぶつかる。砕くという言葉から勝手に噛み砕くのかなと先入観を抱いていたが眼に写る光景には子犬が思いっきり鎧にぶつかっているものだった。いや、そんな子犬程度がぶつかって突破できるわけ…


 バキンッ


 え?…

 予想とは裏腹に小さな破裂音とともにダライの鎧にヒビが入った。


「よくやったわ~紅蓮グレン、はいご褒美♪」


 その光景に驚く様子もなくじゃれ会う子犬と少女…

 なにこれ?さっきまでの状況が一変してるんだけど…


「よくやった!荒れ狂う風よ、纏まりて刃と成せ。風刃エアダンパー!!」


 もう一人の男がそのヒビ目掛けて何かを振り下ろす。目には見えない何かが当たるとヒビが更に大きくなりそこを起点に鎧が真っ二つに割れた。


「おい、小僧!あれだあれを叩き込め」


「あ、あぁ。わかった。殴剣打刃おうけんだっは 技法『夜叉』!荒れ狂え、斬撃の風」


 命令を受けた百目鬼が咄嗟に斬撃を放った。亀裂の中に放たれたそれは鎧内部で炸裂しそれとともに小さな呻き声が響いた。


「ぅぐぅぁぁぁ、己…貴様らぁぁぁ」


「神楽、封印だ。こいつが体勢を整える前にやってしまえ」


「も~安仁屋がやってよ~」


「安仁屋じゃなくて今はウィードだ。俺には無理だと説明したろ。ほらはやく!」


「はーい。紅蓮グレン、もう一仕事お願いできる?」


 ワンッ


「よぅし、じゃあやっちゃおうか。おいで紅蓮グレン♪」


 少女が子犬を抱き抱えると彼女らを淡い光が包み込んだ。次に見えた光景は巫女服姿の少女だった。


「邪なるもの。大罪犯した罪人よ。汝、その定められた命を終え、その約定を破棄せよ」


 少女の詠唱は淡々と行われた。その俺もベリルさんも訳がわからずただ呆然とみているだけだった。


「ま、まさか…貴様…や、やめっ」


 鎧が砕けその身が露になったダライが砕けた鎧を盾にしながら少女に向けててを伸ばしている。

 巫女服の少女…神楽と呼ばれた少女はそんなのお構い無しに詠唱を続ける。


「吾、異界の者。この世界の闇を晴らすべく与えられし力を行使する!」


 詠唱終了とともに彼女の前に先程犬に変化した短刀が現れる。刃は淡い光に包まれどこか神秘的だった。


「神楽、行けそうか?」


「う~ん…すこし厳しいかも~」


「そうか…」


 神楽と呼ばれた少女とともに来た男…安仁屋?ウィード?どちらが名なのかわからないがその男が少女に問いかけて険しい表情を浮かべる。


「なんかね~色々と取り込んでるのが邪魔してるみたい」


「取り込んでいる…か。なるほどな。奪ったものごとの封印は厳しいと…そう言うことか」


「ねぇ~まだぁ?この姿を維持するの疲れるんだけど~」


「もうすこし維持しろ。おい、小僧!」


「え…あ、はい。なんですか?」


「奪われたのはお前と縁のあった奴らのものだろ?」


「そうですけど…取り返せるんですか?」


「取り返す…っていうのは違うな。本来の持ち主に返してもらう…だから力を貸せ!」


「わかりました。俺は何をすればいいんですか?」


「お前も見ていたろ?神楽と同じ力をお前も使えるはずだ」


「俺もあんな姿になるんですか?それはちょっと~」


「格好はあいつの好みだ、気にするな。ほらはやくしろ!」


「はやくっていったって何をすれば~」


「その手にもつ守霊の力を解き放て…そうだな~イメージは奴を形成する記憶のブロックをだるま落としのように打ち抜く感じだ。あとはお前の力が教えてくれる」


「守霊の力…拳斗君のような力は俺にはなかったけど…俺には俺の力があった。とにかく…やってみよう!」


 百目鬼の目が険しくなる。両手にそれぞれ持った鎚とボロボロの剣が少女の短刀のように光だす。


「答えてくれ…殴鬼おうき打鬼だき、俺の守霊よ…俺の大切な恩人の願いを叶える力を貸してくれ」

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