第17考.好きな漢字 その2「尖」
じつを言えば。
字面そのものは、あまり好きではないんですが。
※noteにも転載しております。
好きな漢字は、まだあります。
今度は、ふたつの漢字を、表意文字としてくってけて。
別の概念を描き出す、技巧派です。
しかも、偏と旁のような、横ではなく。冠と脚のような、縦の結合。
「尖」
「とが-る」です。
上に「小」。下に「大」。
太いほうから、細いほうへの傾き =「とがる」、ということですね。
なるほどって、なりません?
ふふ。ところがですね。
これだけにとどまらないことが、漢字の奥深さなのです。
「尖」は、ふたつの文字の表意的結合だけではなく。もうひとつ。
象形文字的な性質をも、もっているのです。
漢字のフォルムを、よく見てください。
頂点たる先端となる縦棒から、広がりを見せる左右の点をもつ、「小」を上に乗せ。
横棒と、さらなる広がりをイメージさせる、左右ななめ下へのはらいをもつ、「大」を下に敷く。
この字の輪郭を。なるべく少ない本数の直線で、描いてみると。
「尖」→ △
三角を描きませんか?
つまり、この漢字のフォルムじたいが「とがっている」わけです。
「小」と「大」の部分の意味を抜きにしても、「尖」という字そのもので。象形文字として、成立しているんですよ。
第15考で、「泡」の字の「包」の部分が。
「ホウ」の表音と、「つつむ」表意の。ふたつの機能を果たしていると述べましたが。
「尖」の文字においても。表意と象形の、ふたつの機能が込められいる。
その「とがった」フォルムに、魅せられてしまったのです。
詩を描くときでは。
「咎る」って、当て字をよく使っちゃいます。




