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 おはよう。そして起きてくれてありがとう。

 キミはどんな夢を見ていたのかな?

 強くなって大きなドラゴンをやっつけて大金持ちになる夢?

 みんなに愛されて、ニコニコと笑顔の絶えない世界の夢?

 動物いっぱいでもふもふに包まれる夢?


 じつはね、どれも実現可能なんだよ。

 人はね、見た夢をそのまま実現させる事ができる。キミがもっと具体的な夢が見れるように、私はサポートに努めるね。



 キミは今、馬小屋のぽかぽか暖かい(わら)の中から目覚めた。

 牛や馬、ニワトリたちが騒がしいね。よく今までぐっすりと熟睡できたもんだ。


 体にひっついた藁を落として外に出ると、今度は村の人々が騒然としていた。

 一体、何事なんだろう?

 キミは、面識のある防具屋のおじさんに声をかけた。


 防具屋のおじさんは、誰よりも慌てた風に

「ああ! ああ! 大変だ……。うちの一人娘が拐われちまった! ゴブリンだ! ゴブリンの奴らに決まってる」

 と、まくしたてるように言った。


 これは大変だ!

 おじさんはキミに良くしてくれた、赤毛の少女のお父さんだったね。だから、こんなに慌てるのも仕方がないこと。それに、あの子は村の人気者だったみたいだ。みんなが大慌てで、防具屋のおじさんの周りに集まりだしたよ。


 村の住民は、お爺さんやお婆さんばかりで、モンスターと戦えそうな人は見当たらない。

 キミは……どうする?

 もう答えは決まってるよね。


 キミは、防具屋のおじさんの肩に手を置いた。

 おじさんは

「なんだって!? 会ったばかりのあなたが引き受けてくれるのか! ありがたい……」

 と、言った。


 えらい! キミは勇者だね。

 みんなが困っている中、大変な仕事を率先して引き受けるというのは、誰もが出来ることじゃないよ。


 感動した村の人々は、キミに装備品を託そうとしているみたい。

 防具屋のおじさんは元々キミの為に作っていた物があったね。


 おじさんは一着の衣装を店から持ち出して、

「これは誠心誠意を込めて作ったものだ。動きを阻害しない程度に板金を入れてある」

 と、言った。


 キミに渡されたのは……ドレスアーマーだ!

 おじさんの言う通り、重たくない程度に胸部を守るプレートと、美しい刺繍が合わさった素敵なデザインの防具だよ。ひらひらとしたスカートが足さばきを阻害しないように……ってあれっ?

 まだ聞いてなかったけど、キミって男の子? 女の子?

 うーん……どっちでもいっか! さっそく、装備してみよう。


 キミは物陰に隠れて、ささっと着替えたあと、再び村人たちの前に姿を現した。

 中性的なキミの見た目は、武勇と優雅の二つの要素を併せ持つドレスアーマーに、見事にフィットしていた。


 村人たちはキミを見て、熱狂的な反応を示したよ。勇者様だ! なんて声をあげる人もいたくらい。

 実際、すごく似合ってると思うよ。

 格好良くて、可愛い! まるで蝶のように舞い、ハチのように刺しそうな……うーん、でも鎧だけじゃ戦えないね。

 もし、今のキミの戦闘力を数値で表すとしたら


 攻撃力:3 (手作りスコップ)

 防御力:20(武優のドレスアーマー)

 回復薬:やくそう


 といったところかな。キミはスコップを扱うのは上手だけど、さすがに戦闘に使うには無理があるね。

 ──おや、村人が他にも何かくれるみたいだよ?


 次に武器屋の無愛想なおじさんが出てきて、

「この剣を使ってくれ。代金は要らん。あんたがゴブリンを倒してくれれば、看板になるからな」

 と、キミに一振りの剣を渡してきた。


 その剣は、昨日見かけた飾り気のないロングソードの一つだった。

 鞘から抜いてみると、銀色の刀身が柔らかく輝いた。

 キミはそれを右手にもって、何度か素振りをしてみることにした。


 木と革で丁寧につくられた剣柄は握りやすく、あっという間に手に馴染んだ。

 剣の重心は手元に近く、やや重たそうな見た目とは裏腹に、宙空で方向を変えて切り返す、という動きを何度も繰り返すことができる。


 おお、サマになってるねえ! キミは今、夢中になって剣を振ってることに、気づいてるかな?


 キミが剣を振るたび、銀色の刀身が日光を受けて反射する。空を切る音とともに、剣が閃く。

 軽快に、それが自分の体の一部であるかのようにして、キミは剣のワルツを踊った。


 キミはふっと一息ついて、剣を鞘に戻した。

 静かに剣舞を見守っていた村人たちが、堰を切ったように声を上げ始める。

「おお! ほんに勇者様じゃ! ありがたや!」

「これならゴブリンどころか、世界中の魔物をやっつけてくれそうじゃ!」

 など、思い思いに称賛の声を浴びせてきた。


 剣舞に夢中になっていたキミは、村人たちの声で我に返った。気恥ずかしくなったので、とりあえずお辞儀をしてみせた。


 すると、遠くから薄汚れた犬が走ってきた。

 それを見た少女のお父さんが

「ポチ! 娘の居場所を知っているはずだ。この勇者様に案内を頼む!」

 と、言って犬の身体を拭いた。


 ポチは泥だらけだね。女の子と一緒に捕まったあと、隙を見て逃げ出したんだろう。


 ポチは激しく身体を振ったあと、大きな声で一度だけ鳴いた。

 キミは直感的に、「着いてきて!」とポチが言っているように思った。


 ポチが村の出口に走り始めると、キミはその後を追った。


 さあ、キミ。

 もうすぐバトルが始まるよ。準備は万端かな?

 キミはさっきの鎧に加えて、手によく馴染む剣まで手に入れることができた。

 今の戦闘力を数値で表すとするなら……


 攻撃力:35(日光のロングソード)

 防御力:30(武優のドレスアーマー)

 回復薬:やくそう


 ってところかな。

 なんで防御力も上がってるのかって?

 それはキミに剣の才能があるからだよ。手足のように動くキミの剣は、敵を打つ武器であると同時に、身を守る盾にもなる。かっこいいね!


 さあ、キミ。いくら強くなったとしても、不意を突かれることは当然ある。

 あらゆる事態を想定しよう。

 この先に待っているのは、どんなゴブリンかな。 一体かな? 二体かな? ゴブリンはどんな武装をしているかな?

 赤毛の少女はまだ、無事でいてくれるかな?


 さあさあ、先を急ごう!


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