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好奇心のもの  作者: リクルート
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彼女達が見るものは

 ミラ、マリア、テリーは玄関に入れてもらい、最後に入ってきた犯人と思われる男性はドアの鍵を閉めた。

 男性の家の中は、玄関から見るとまず廊下があり、左側にドアが一つ。そして、右側は部屋が二つあるようだ。右側のうち片方はトイレや風呂場のある部屋のようで他とはドアの材質が違った。

 男性は左側のドアを開けた。

「こちらへどうぞ。散らかってますが」

 そして、笑顔で彼女達をそこへ招いた。

「では、今、お茶を入れますから。待っててください」

 そういうと男性はキッチンの方に入っていった。

 何も話さず少し待つと、彼がお盆にお茶を乗せて持ってきた。それをそれぞれの前に置く。

「どうぞ。粗茶ですが」その言葉を嬉しそうに言っている。

「ありがとうございます」

 そうは言うものの、誰もそれに手をつけることはなかった。あのミラでさえ。ミラとマリアは緊張していて、何かを喉に通すということに気が進まなかった。テリーだけは、これに何か入っているかもしれないと思って飲まなかった。

「おや、飲まないのですか」

「いえ、喉が渇いていないのです」

「そうですか。それはそうと、最近は物騒ですからね。あまり女性だけで出歩くのは感心できませんね」

 彼は何か話そうとしているのか、そんなことを話し始めた。

「大丈夫ですよ。犯人に遭うことなんてありませんよ。第一、まだこの町にいるとは思えません。逃げるでしょう、普通」

「そうでしょうか。案外、そこらへんにまだいるかもしれないですよ。それにお嬢さんたちもいるのですから、あまり心配させてはいけない」

「いえいえ、この子達は大丈夫ですよ。足は速いし、一応、武術の心得もありますから」

「そうですか。いえ、私が強く言うことではありませんでしたね」

 会話が終わるのを待っていたかのように、マリアがそわそわし始めた。ミラが小声で、「マリア、どうしたの」と聞いた。それを聞いたのか、話していた二人も彼女の方を向いた。

「ちょっとお花を摘みに行きたいのですが」

「ああ、それならこっちだよ。というか、いまどきお花を、なんていう女子高生は珍しいね」

 そういうと、彼は先ほどの左側の一室、トイレなどのありそうなドアに案内した。

「風呂場のカーテンは開けないでね。タオルとか、下着がかかってるから。見たくないでしょ、そんなもの」

 マリアはそれにわかりましたと答えて、トイレに入った。マリアは足音で彼がその場から遠ざかっていくのを確認すると、履いていたロングスカートも下ろさずに、便座に座った。

「さて、あるとしたら水場ってテリー女史が言ってたけど、怪しいのはカーテンの向こうかな」

 足音は遠ざかっても、もしかしたらドアの向こうにいるかも知れないと考え、ゆっくりとカーテンを動かしていく。マリアの頭が入るくらいになったところで、彼女はカーテンの奥に頭を入れた。するとそこには男性が言っていた通りにタオルと下着がかかっていた。マリアは言うとおりだったと考え、一応トイレの水を流して、手を洗って、その場を去った。それから、リビングのドアを開けて、先ほど座っていた場所に座った。

「じゃ、私もトイレ行きたい」

 そういって今度はミラが男性にトイレのあるドアの方に連れて行かれた。

「マリア、何か」

 マリアはそれに首を振るだけで答えた。


 ミラは先ほど、マリアが受けた注意を言われた。そして、彼の足音など気にせずに、風呂場のカーテンを開く。つまり、注意を受けて、すぐにそれを破ったわけである。しかし、何か気になることがあると気にせずにはいられない性格の彼女にとってやるなと言われれば、なぜやってはいけないのか、やったらどうなるのかが気になってしまう。しかし、今はそれとは別だった。これは作戦である。

 マリアが見たときには気が付かなかったが、タオルが干してある場所に違和感を感じた。その違和感にしたがって、タオルをめくるとそこには、糸に吊るされているナイフがあった。刃の一部がさび付いていて、そのナイフは明らかに何かに使われた後だった。ミラはそのナイフが果物ナイフではないか、と考えた。それに確信が持てなかったのは彼女自身が果物ナイフというものを見たことがなかったからだ。

 それを見つけたところで、ドアが開いた。

「トイレじゃなかったんですね」

 ドアノブの音を聞いていたミラは、すでにそこに誰かがいることはわかっていたので驚かなかった。しかし、このままでは殺されるかもしれないと彼女は考えていた。ナイフはミラの近くにある。彼がミラに近づいて、そのナイフを手に取り、振り下ろせば、彼女はたちまち亡き者になるだろう。成人男性と女子高生の力の差は考えるまでもない。

 ミラはこの場から逃げ出す方法を考えていた。しかし、このナイフがまた違うところに隠されたり、溶かしたり、バラバラにされてしまえば、証拠として出すことができなくなるかもしれない。それはまずい。この犯人に逃げられる可能性もある。

「全く。おてんばですね。あなたは」

 ゆっくりと。ゆっくりと彼は近づいてきていた。逃げる場所などない。だからこそ、まるで牛のような(のろ)さで近づいてきているのだろう。しかし、ミラは気にせずにはいられないという性格なだけで、馬鹿というわけではない。近くにはナイフの他に使えそうなものがある。

「あれを使えば」

 男性は、すでに目の前、彼が腕を伸ばしてミラの首を掴めば絞殺できる距離。ナイフをとるとしたら、後一歩と言ったところだろうか。ミラはその間合いを計っていた。近づかれすぎれば、ナイフを取られ、離れすぎればこちらの攻撃があたらない。どちらのリーチも同じくらいだろう。

 男性が一歩踏み込もうとしたその瞬間。ミラは動き出した。

 後ろのタオルを掴み、勢い良く引っ張り相手に向かっていく。相手の隙を突いてその脇を抜ける。そのときに相手の腕を捻るように、自分と共に相手の後ろへ。そして、その手を相手の背に押し付け、さらに男性を壁に押し付けた。それから、驚いている隙にもう一方の手をとり、両手を縛り上げた。

「みんなぁぁ」

 大声でリビングにいるはずの二人を呼ぶ。すると二人は大慌てで彼女の方に来た。

「全く。無茶しすぎよ、ミラ」

「でも、お手柄ね」

「おい、お前ら、早く手を離せ。そこのナイフで殺してやるから」

「まだ殺す気だったの」

「ああ、俺をこんな目に合わせたんだからな」

「それは自分のせいでしょ。自分から殺そうとしたじゃない。それに商店街での事件もあなたのせいでしょ。人を殺すのはしてはいけないことなの」

「ああ、商店街の時は面白かったなぁ。自分が刺されるって知らないからか、笑顔で歩いていたなぁ。それを見てたらなんとなく刺したくなってな。俺が正面からさりげなく、しかし、確実にぶっ刺してやったんだ。そしたら呻く間もなく倒れちゃったんだよなぁ。そして、あいつの服に鮮やかな血が染み込んで、それから溢れ出る血は地面に染み込んだ。あれは命が地に帰るようで良かったよ。しかしな、何で人を殺しちゃいけない? こんなにも興奮するのに」

「殺された人を想っている人が悲しむからよ」

「なぜ悲しむ。こんな美しくて、興奮することはないよ」

「殺してしまえば、生きている美しさが失われるから。人と一緒にいられる美しさをなくしてしまうから」

「わからないなぁ。俺には。どうせ捕まるなら、お前達を刺して、その赤い血が滴るのを見たかったなぁ」

もはや、彼の頭には殺していけない理由なんてものはなかった。目の前の三人を自分の手で刺してその血を見たいということしか考えていなかった。

「あなたは」

「なぁ、そこの小さいの。お前、俺と同じ匂いがするな。気をつけた方がいい。お前をちゃんと理解してくれる奴はいなくなる。今は何も言わなくてもいずれ理解できなくなって、それがストレスになって、離れていく。そうなるだろうよ。そうなったら、お前の周りは敵だらけだろうからな」

テリーの話を聞かずに、ミラに狂ったような視線を向けてそう言った。

「わたしにはマリアがいる。マリアはちゃんとわたしのことをわかってくれてる。わたしだって、理解してもらおうと思ってる」

「貴方に言われなくたって、ミラを置いてどこかに行くことなんてありません。貴方なんかに心配してもらう必要はありませんよ」


「お疲れ様です」

警察が来て、テリーに話しかけていた。

ミラとマリアはテリーの後ろで何も話さずにいた。この重大な事件が本当に終わったのか、終わったとしたら、やはり自分たちは役に立ったのか。色々なことを考えていた。


「君たちがまさかテリー女史の弟子だったなんてな。あの時はすまなかった。あんな言い方をすべきではなかった。しかし、わたし達は、犯人を捕まえるだけが仕事ではないんだ。町に住む人を守る。それが一番やらなくてはいけないことなんだ。君がもしこれで何かあればやりきれない。犯人を捕まえても、それでは意味がない。すでに一人刺されてしまったことがわたしは悔しい。自分がもっと早く気づいていたら守れたかもしれない。自分の力のなさがとても不甲斐なく思う。改めて、すまなかった」

ミラが捜査の真似事を始めた時に、ミラに失礼な態度を取っていた刑事が彼女に謝っていた。

「ねぇ、刑事さん。町を守るって難しいね」

彼は頷いた。

「でも、刑事さん達がいなかったら、もっと酷いことにになってたかもしれない。それにわたしは刑事さんが本当に酷い人とじゃないってわかってたよ。わたしの直感がそう言ってた」

そこでミラは少し間を開け、視線を犯人の家に向けた。

「犯人がさ、わたしを殺そうとしてた。その時はあまり怖くなかったかもしれないけど、今思うと怖い。だから、刑事さんはすごいと思う。犯人に立ち向かって、捕まえて。刑事さんは不甲斐なくなんてなかったよ」

彼女は体ごと刑事に向けた。

「いつも町を守ってくれて、ありがとう」

一つ頭を下げて、刑事さんに元気な笑みを見せた。

刑事はそれを見て、顔を背け、両目を片手で覆った。


「天然って怖いわね」

「ええ。あれでも実はミラのファンっているんですよ」

「そう。好奇心に正直ってだけで、素直で純粋みたいだものね」

「まぁ、見た目も小さくて、可愛いですし」

「あなたもミラとは方向性は違っても、可愛いじゃない。ミラと同じくらいのファンはいそうよね」

「まぁ、そう言う噂はありますよ。ミラ派とマリア派と別れているらしくて。でも、どちらの派閥も喧嘩することはないみたいですけどね」

「ま、あなたたち二人が喧嘩するところなんて見たくはないでしょうからね」

「ねぇ、二人で何話してるのさ」

「いえ、何でもないわ。ちょっとした世間話よ」

「こんなタイミングで?」

「ええ」

 ミラは不思議そうに首を傾けた。この話はミラの直感ではわからないらしい。

「それはそうと、テリー女史、これからもお手伝いしたいんだけどいい」

 ミラは真面目な顔をして、テリーにそう問うた。

 ミラはテリーと居ることで、次は事件が起こる前に解決できるかもしれないと考えたのだ。それに彼女が居れば、事件が起きても彼女の弟子ということで事件を解決に協力することができる。

「ええ、そうね。あなたたち、結構面白いし。私の事務所に所属する事になるけどいいかしら。私に来た依頼の中であなたたちでも出来そうなものをやってもらうわ」

「あの、いいんですか。今回は足手まといになっていた気がします。それでも、私たちに依頼を解決させてくれるんですか」

「まぁ、たしかに今回は足手まといだったかもしれないわ。でも、最初から上手く出来るとは思えない。それに私があなたたちの成長を見たいのよ」

テリーは二人をまっすぐ見て、そう言った。

「マリア、一緒にやろうよ。この町を二人で守るの」

「そうね。貴方一人じゃ不安だもの。私も一緒よ」

「じゃあ、テリー女史。これからよろしくお願いします」

「ええ、お願いされたわ。私もよろしく」

こうして、彼女たちはこの事件を終えたと同時に、テリーの事務所に入ることになった。


「テリー女史。こんにちは」

「こんにちはー」

事件解決からすでに一週間が経っていた。あれから毎日テリーの事務所に来て、彼女の依頼の中で解決できそうなものを解決している。昨日は迷子の子犬探しだった。これは情報が多く、ミラがさっさと解決したのだ。

「テリー女史。依頼のリストはこれですか」

「ええ、そうね。今日までにはこれとこれを解決して欲しいのだけれど。あと、あなたたち自身に依頼がきてるわ。これね」

今日、二人が解決しなくてはいけない依頼は三件。うち一件は彼女たち自身に来たものだ。

「ようし、今日も依頼を片付けるよー!」

ミラが元気に事務所のドアを開けて、出ていった。

「ちょっと待ちなさい。ちゃんと依頼確認してないでしょ。あ、テリー女史、いってきます」

出ていった彼女を追いかけて、マリアも外に出た。

「いってらっしゃい、って聞こえてないわね。でも、二人が来て賑やかになって楽しいわね。ずっと一人でこの部屋にいても面白くないもの」

一人、部屋で呟く声は、彼女がよく知っている騒がしい声にかき消された。

終わりです。

推理ものとあっていつもより考えることが多かった気がします。と、言ってもまだまだ未熟者で世で言う推理ものにはなっているのでしょうかね?

少なくとも私は推理ものとして書いたつもり出下が。

それはそうと、私の中でミラとマリアはお気に入りのコンビです。皆さんはどうでしたか? この二人を気に入ってくれていたら、とても嬉しいです。んー、他の作品でもちょっとだけ登場とかさせたい。


作品内のことについてはあまり触れません。読者それぞれの解釈で読み終えてほしいです。

それでも気になるところは是非コメントや、ツイッターでお願いします!


それで、次の作品なのですが、書きたい話が3つ4つありまして、どれを書こうかは全く決めてません。ちなみに、BARE2、ロボットもの、超能力、恋愛の案がありまして、どうしたものかと決めかねています。

しかし、近いうちにもしかしたら、全く違うジャンルだったり、二次創作だったりを書く可能性もあります。


かなり、休みがちで執筆していますが、どうか、次に作った作品を読んでいただければと思います。

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