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専業主婦になります!  作者: まとまと
第二章 イツキ家の悲劇
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その違和感はどこから

―タチバナ ヤヨイ―



「な・・・なにかって・・・いったいなに・・・?」


「わからない・・・でもなにかが確実に」



やっとわかった。

バスで目を覚ました時から覚えていた違和感。


あの時は確かに体が重かったけど、ただ少し体調を崩したのか、もしくは寝起きだからなのかと思っていた。

そんなのんきなことを考えていたその時の私の頬をひっぱたいてやりたい。

だってこの下にあるのは・・・


「地下に魔力が充満してる。とんでもなく大きい魔物か・・・いや、違う・・・?」


「ま、魔力?でもそれだったらお母さんが気づかないはずが・・・」


「・・・お母さんの感知はそれほど優秀なものじゃないの」


「どういうこと・・・?」


「お母さんの感知は『そこに何かがある』というのがわかるだけ。普段なら何もないはずの場所に『それ』が存在していたら見つけられる程度」


「ちょ、ちょっと・・・もうちょっとわかりやすいように・・・」



どう説明したもんかと少し悩んだ後に私はケータイのペイントアプリを起動した。

画面の真ん中に小さな黒い丸を描いてサツキに見せ、液晶を指差した。



「これ。これが魔力とします」


「う、うん」



そして次は黒い丸を消して真っ白な状態で。



「じゃあこれはどんな状態?」


「どうって・・・黒丸が魔力だから今は何もない状態ってことじゃないの?」


「ブッブー」


「え?」


「お母さんは一言も黒い丸が魔力だとは言ってないよ。ただ画面を指差しただけ」


「じゃ、じゃあ逆?白い部分が魔力だっていうこと?」


「そう。そして今、お母さんたちが立っているこの下がその状態」


「魔力がない部分が全くない状態だったから逆に気づけなかったってこと・・・」


「厳密に言えばお母さんが感知できる範囲では・・・ってことになるけどね。」



団を抜けて平和ボケしたツケが回ってきたということか。

さっき投げてもらった20数本のうち2本も斬りこぼしてしまうし、違和感には気づいても魔力感知できなかったせいで体調を崩すし、挙句の果てには魔力に当たられて吐き気を催すし。

本当に情けない。



「でもそれだとなんでさっき気づけたの?」


「んー・・・。まぁ、強いて言うなら空が綺麗なおかげかな」



気づいたのはほんの少しのきっかけ。

地下には魔力が充満しているけど、今私たちがいる場所は至って普通でサツキの魔力もきちんと感知できている。

ただその違いに気づいたというだけ。

こんな場所に魔力があるはずがないという先入観が邪魔をして、気づくのにかなり時間を要してしまったけど。



とりあえずこのままというわけにもいかないし、久々にお仕事といきますか。


「は、早く警備団に連絡を・・・あぁ駄目だここ圏外だった・・・えっと・・・どうしよう・・・」


「サツキ」


私は口の前で人差し指を立てて静かにするようサツキに合図をした。

この違和感の正体が魔力だということがわかりさえすれば話は違ってくるし、これならまだやりようはある。


サツキが無言で頷いてくれたことを確認してから私は目を閉じ意識を集中させた。



この魔力はいったいどこから来ている?

何か不自然な部分はないか。

どれだけ小さなものでもいい、何か・・・何か・・・。



「あそこ・・・か・・・」


他の意識を絶って集中しなければ気づくことすらできない程の極小の魔力の残骸。

不自然に小さな点のような魔力が点在している場所が一つだけあり、それは一つの線のようだった。

地上に近づくにつれて薄くなっていき、次第に感知することができなくなっている。

でも地下にある点在する魔力がどこへ向かっているかは辛うじて認識できた。


「お、お母さん何かわかったの?」


「うん・・・きっとあそこになにかがある」


私にとって忘れたい出来事があった場所、それでも決して忘れることができない空間。

二度と見たくもなかったし、ましてや踏み入れるなんて死んでもごめんだと思っていたあの建物。





私が指差した先にある物をサツキは口にした。




「・・・道場?」



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