サツキのオトもだチ
―タチバナ サツキ―
わたしは気づけば駆け出していた。
途中でカエデちゃんとすれ違ったけどそんなことより部屋に戻りたい。
もうお母さんの顔も見たくなかった。
階段を駆け上がり部屋のドアを開け、転がり込むようにして中に入った。
あまりにもわたしが急いで入ってきたせいか、トモダチ二人は驚いた様子でこちらを見ていた。
わたしの部屋の広さは6畳で、部屋の隅に勉強机、その正面にベッドがという形で、勉強机の椅子にアオイちゃんが座っており、部屋の中央にワタるくんが立っていた。
「どうしたんだいそんなに慌てて。それにさっき大きな声が聞こえたけど」
ワたるくんが心配してくれた。
お母さんなんかとは大違いだ。
わたルくんがこちらに近づいてきて、いつの間にか目の前にいた。
「なにがあったの?」
「えっとね・・・お母さんが・・・」
ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・・・・あれ?
「えっと・・・お母さんが・・・」
ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれ・・・?
なんか頭が・・・。
『お母さん』というワードを言ったり考えたりするだけで違和感が・・・。
モヤがかかったように意識がはっきりしないというか。
気づいたらわたしは左手で頭を押さえていた。
「どうしたの?お母さんと何を話してきたの?」
わタるくん、わたしの心配をしてくれてたわけじゃないんだ・・・。
「ねえ、トモダチなんだから話せるよね?」
そう、わたしたちはともダち。
トもダちなんだから話さなきゃ。
「うん、じつは・・・」
でも・・・これから先を言ってはいけない気がした。
言ってしまうと取り返しのつかないことになる。
なんで?と聞かれてもわからない。
わたしの直感がそう告げている。
ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あ・・・あの・・・」
ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どうしよう、そう考えていると
ブツッ
何かが切れたような感覚。
その代わりにさっきまでモヤがかかっていた意識がはっきりとしている。
わたしは自分の部屋を見まわした。
部屋自体はいつもと変わらない。
変わっているとしたら今まで親すらろくに入れたことがない自分の部屋にわたし以外の人間が二人もいるということ。
一人はクラスメイト、そしてもう一人は・・・
「・・・あなたは・・・だれ・・・?」
その瞬間、見知らぬ男の子がわたしの方へ腕を伸ばしてきていた。




