47.害虫飼育箱
「い……いや、分家行くんじゃなくって、その……昨日のとこ……」
「ジャヌコ? 何か買い忘れ? 俺、さっき行って来たばっかりなんだけど?」
今日の便、終了?
え? オレ、今日も同じパンツなの?
二日連続履きっぱなの?
まぁ、いいか。
三日前までは、何日っつーか何カ月も同じ服、同じ下着で風呂も年単位で入ってなかったし。それに比べりゃまだマシだな。
風呂は入ったし、昨日、丸洗いもされたし、全然余裕。まだイケる。
「何が要るの? 急ぐ?」
「いっいや……あの、その……パ……パンツ……」
「何で? タンスに入ってないの?」
「いっいや! ……その……むっ虫で……いや、虫が……タンスも、あっあれで……だから……その……」
「あー……うん、大体わかった。そう言うコトは早く言えよ。全く! ここんちは、どんだけ害虫飼育してんだよ! そのタンスも捨てるって言うか、丸ごと燃やすから。もう絶対に開けるなよ? いいな?」
オレは民芸品の首振り人形のようにカクカクと頷いた。
「明日、他の買い出しがあるから、タンスはその時ついでに買うとして……パンツって、今履いてるの以外、一枚もないの?」
昨日、居間で袋から全部出して探したが、見つからなかった。
オレがコクリと頷くと、マー君は盛大に溜息を吐いた。
「サイズは?」
「いや、あの……えっと……えっ……M……かな?」
「他は? シャツとか靴下とかの予備はあるの?」
オレはカクカク首を縦に振った。
「コンビニで買ってくるから、タンス捨てて待ってろ」
マー君は鬼の形相で出て行った。
タンスを捨てる? オレ一人で? それ、何て無理ゲー?
引き出し一段ずつ、パーツ単位でなら……いや、いやいやいや! 虫! 虫が出る! 却下だ却下!
さっき庭に居たのは……ムネノリ君には無理だ。あの細い腕じゃ、絶対無理。
藍も、女の細腕じゃ無理だろう。
双羽隊長なら魔法で……いや、やめとこう。
「何故、自分のゴミを、自分で、捨てないのですか?」とか詰問されるのがオチだ。で、殺される。
メイドさんも魔法でできそうだけど……中身があれじゃ可哀想だ。
KY三枝じゃ言葉通じねーし……いや、筆談なら……? 辞書は……押入れ、か……




