22.汚洋服の山
オレは、床部分に散乱する衣類をベッドの上に投げた。
ウン筋付きブリーフ発見。これはゴミ袋の上に投げる。
あっと言う間にベッドの上を服が埋め尽くす。
辛うじてスペースがあった枕元にも山が出来上がった。ここ数年、全く洗濯していない汚洋服の山だ。
体を動かしたせいか、額に汗が滲んできた。さっき着たセーターを脱ぐ。
解放感。
手の中には、毛玉だらけの安物のセーター。虫食いの穴まである。
オレ、さっきこんな汚い恰好で駐在所に行こうとしてたのか……
愕然として、セーターをゴミ袋の上に投げた。
どんどん服をベッドの上に投げ、床の堆積物の嵩は大幅に減った。
オレの寝場所はなくなったがな!
だが、これで大分、薄い本の発掘作業はやりやすくなった。
後、さっき、ぶっかけ済みで黴が生えまくったフィギュアも発見した。
尿ペットよりも使用済みフィギュアの廃棄処分が先だ。
薄い本、フィギュア、尿ペット、その他。
……この順番だ。
密林の段ボールは豊富にあった。
数年前にドアが全開にできなくなるまでは、箱ごと室内に入れていたからだ。ここ暫くは、ドアの隙間を通れないような大型フィギュアは買っていない。
そう言えば、二十歳頃まではババアが部屋掃除してたから、フィギュアも薄い本もベッドの下や押入れの奥に仕舞ってたんだっけ。つーか、今も仕舞いっぱなしだ。
大掃除っつーことは、そこにも手を付けるってことだよな……
作業量の多さに気が遠くなった。が、その分メイドさんと過ごす時間が長くなることを思い出し、気を取り直した。
八個目の薄い本入り段ボールを積み上げる頃、メイドさんが戻ってきてくれた。
「お待たせしました。優一さん、お食事、本当に要らないんですか? 真知子さんが心配なさっていらっしゃいましたよ」
分家の嫁がいちいち口挟むなよ。
実際、不思議と腹は減ってねーし。
「いや、大丈夫だよ。毎日二食だから」
「そうなんですか。では、お掃除の続きを頑張りましょう。はい」
にっこり微笑んで黒ゴミ袋を手渡してくれた。
よし、これで勝てる!
その前に、アドバイスに従っていないことを誤魔化そう。
「いや、なんか、思ったよりゴミ多くって、いや、ドア、開けられなくって、その……」
「そうなんですか。では、ドアの隙間からお洗濯物を出して下さい」
「は?」
「先程、足下に服が落ちているのが見えました。洗濯物の分、嵩が減ればドアを開けられるようになるかと存じます」
「いや、そっそれ、もう、やってるんだ。いっいや、服だけベッドに積んで、いやその、あの、それでもドア……いや、ハハハッ……」
「お洗濯物、分けてあるんですか。では、すぐに出せますね」
「いや……お……おう」
何故か、洗濯物を出す羽目になってしまった。
恥ずかしいシミが付いたパンツとか見られちまうのか。ムネノリ君の侍女だからそんなブツ、見たことないだろうに……
いや、何も馬鹿正直に全部出さなくても、パンツ除外で、その他大勢だけ渡しゃいいんだ。
汚パンツは全捨ての方向性で!
よし。これで行こう!
「たくさんあるのでしたら、一旦ゴミ袋に入れて、袋の口はくくらずにお渡し下さい」
「いや、お? おう」
ゴミ袋と聞いて一瞬、全部捨てられるのかと思ったが、そうではないらしい。
追加のゴミ袋を受け取り、衣類を袋詰めした。
※ 但し汚パンツは除く。
言われた通り、袋の口をくくらずにドアの前に置く。45Lゴミ袋満タンの衣類はクソ重かったが、底に手を添えることで袋が裂けるのを避けた。
また新しいゴミ袋を受け取り、ベッド脇に戻るオレ。
ゴミ袋ってのは単純な運搬にも使えるのかー。へェーへェーへェー。




