義手義眼
『いてーなぁ、てか話長すぎるんですよ、俺マジで死にそうだったんですよ』
楸は医務室で声を荒らげていた、こないだの戦闘で肋骨をやってしまったらしくベッドの上である
『まぁそう大声を出すな』
『うるさいわね、他の人に迷惑かかるでしょ』
『いや俺以外いねぇーだろ!』
重症を負ったのはどうやら楸だけだったらしくフィーネとシルフィードさんしかこの場にいなかった
『楸、アンタあの時私が来るまで何してたのよ』
いきなり名前呼びかぁ、あの後名前を教えてから苗字で呼ぶか名前で呼ぶか迷ってたからなぁ
『えーとなぁ、まず逃げ惑ってて殴られそうになったから右手でガードしてそしたらなんか死にそうだったから目と右手使って生き延びる方法考えてたらお前が来た』
『ずいぶんざっくりなのね』
色々ありすぎて言葉にするのにとても困る。それに実はあの時のことはあまり覚えてない、いきることにひっしだったためである
『というか、なんで右腕と左目がそんな強化されちゃってんの、普通の義眼と義手じゃダメだったの』
楸とシルフィードは顏を見合ってまぁ別にいいかといった感じに話し始める
『昔、というか戦争真っ盛りの時に俺が住んでいたところが巻き込まれたんだ』
少しシビアな話になるのを察してかフィーネの顔がこわばった
『そん時は妹助けるのに必死で他のこと何も考えなかったんだよ、そしたらなんか案の定グレネードが飛んできて右手に破片が突き刺さった、大量にな』
右手をさすりながら語る楸をフィーネは少し可愛そうに見えた
『最初は痛みを感じたけど時間が経つと感覚がなくなってきたんだ、それに親ともはぐれてたから自分が親の代わりに妹をと思ってたんだ、どこが安全かもわからずただひたすら走ってた、でもなある時運悪く敵国の兵士と鉢合わせした。とりあえず妹を逃がすため時間を稼ごうとした、右手を撃たれたけど痛みは感じなくてそのまま突っ込んでった』
だんだんよりシビアになっていく話にフィーネの顔はさらにこわばった
『そしたら左目にナイフを刺された、脳まで届かなかったけど、いっきに視界が暗くなるのを感じたね。で俺は床でもがき苦しんだ』
『その時私がたまたま通りかかったのだ』
シルフィードが楸の代わりに語り始めた
『私はそいつの脳天を打ち抜きこいつとその妹を保護した。だがこいつは結構重症でな、目と手がダメになってたんだ。だから義手義眼をつけてやろうと思ったのだが苦しみながらもこいつは、守れるだけの力が欲しいとほざいてたんだ、だからその時研究段階だったアルマのコアを使って義手義眼を作ってやったんだよ』
ずいぶん長い話になってしまった、フィーネも聞いてしまってなんか悪いみたいな表情を浮かべていた
その時医務室のドアがノックされた
『失礼します』
黒髪のシルフィードのように凛々しい少女だった
『兄さん大丈夫ですか?』
『はっ!?』
フィーネは思わず口に出してしまった。
『大丈夫に見えるか』
『お元気そうで何よりです』
『お前一回眼科いけよ』
『ちょっと待って、この子がアンタの妹なの!?』
いきなりフィーネが突っ込んできた
『そうだが何か?』
『何か?じゃないでしょだってこの子』
『すいません自己紹介遅れました、序列7位で日乃々木楸の妹、日乃々木琴音です以後お見知りおきを』
いや知ってるよとフィーネは吹き出した、琴音は以外とこの学校では有名人なのだ、中等部で序列トップ10入りしてるというこれまたすごい才能を持っているのだ
『兄さん、無理は禁物ですよ。いくら兄さんでも死んでしまいます』
『死にそうになったら無理するよ!』
フィーネは理解できなかった、決っして頭が悪いわけではない、だが何故だろう最近色々理解できないのである、この馬鹿の妹があの天才であ〜
『そういえば日乃々木兄、お前の入学手続き済ませといたからな』
シルフィードの突然の宣告に楸は焦った、焦りまくった
『いやいやいや、なんで俺がこの学校通うことになってんすか、俺アルマ乗れないっすよ、まず女子じゃないっすよ』
『私は別にアルマに乗れとは言っていない、ただ専属整備士として生徒登録するだけだ』
はあぁぁぁ、と楸の声が響いた
『今回のことで上の連中がお前の修理テクを気に入ったらしい、短時間で直せるのは結構いいからな、それにRAKと対峙して生きてるということなので生存確率が高いと思われたっぽいな』
頭の中が真っ白になった
『よろしくね楸』
フィーネの小悪魔笑顔が輝いていた