夏色の君
レイティング基準・・・3
いきなりの夕立に、ベランダのサッシを閉めた。雨音が次第に激しくなり、風も強く吹いているのか、窓硝子に音を立てて横殴りに降り続けている。
さすがに今日は彼も来ないだろうと、シンジも諦める。バイトの帰りにいつもシンジのアパートに寄ってくれて、シンジの用意する簡単な食事を取り、ゲームしたり、いちゃいちゃしたり……。夏休みはずっとそんな感じ。
蒸し暑いし、今日はそうめんでいいやって、鍋と乾麺だけ、キッチンに用意している。
用意はするけど、作るのは彼で、その彼を横で見ているのが好きだ。
湯が沸くまでの間とか、麺が湯がき上がるまでの間とか、そういうちょっとした時間に、キスしたり、さわり合ったりして、一緒にいる。
彼がべたべたするのが嫌な人じゃなくて良かった、とシンジは思った。前の彼はそういうのいやがって、ウザイからいやだって言われて別れた。そのくせセックスはしつこかったけど。
シンジは前の彼と今の彼を比べると、やっぱり今の彼のほうが好きだ。いちゃいちゃからだんだん気分が盛り上がってエッチするのって、気持ちが良い。感度も良くなる気がする。
彼もそういうの好きみたい。だから、彼と出会えて良かった。それだけじゃないけど。
そのとき、玄関のチャイムが鳴った。
合い鍵。作らなきゃ。なんて思いながら彼を迎える。日に焼けて小麦色の彼が肩を濡らして、びしょ濡れの傘と片手にスイカを持ってたっていた。
「土産」
彼は無口だけど、優しい。小麦色に焼けた肌。太陽の色。彼がシンジにとっての夏の色。