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Mystisea~運命と絆と~  作者: ハル
一章 反乱軍
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作戦会議

「それよりもヘイス様。偵察の方は……」

「あぁ、そうだったな」

 そう言って報告をしようとしたが、あることに気づく。

「何でお前がまだ残ってるんだよ!さっさと帰れっての」

 その言葉はセレーヌに向けられた。アレンは考えてみれば自分はまだ反乱軍に参加していなかったことを思い出す。報告などを聞くのはよくないことだと理解していた。

「そうですね。俺たちはそろそろ帰ります」

 そう告げて帰ろうとすると、アイラがアレンを呼び止めた。

「待って!もし良かったらサルバスタ解放に力を貸して欲しいの。…そしてそれを見て反乱軍に入るかどうか決めて欲しい」

「おいアイラ、何言ってんだよ!?」

 ヘイスにしてみたらセレーヌが入ってくるのはあまりいい思いがしない。しかしアレンはその言葉に一理あると思い、どうするか考える。セレーヌの意見を聞こうと思い、彼女を見た。

「反乱軍なんて入るの止めましょ。この男がいるところなんて疲れるだけよ」

 その言葉にヘイスはカチンときてセレーヌを挑発する。

「まぁ多少なりとも帝国軍との戦闘が起こるからな。お前みたいなやつが帝国軍と戦ってもすぐに死ぬだけだ。それが怖いんだろ?」

「兄さんやめてよ!」

 笑うように言ったヘイスをアイラがすかさず止めるが、セレーヌは挑発にのってしまった。

「ふざけんじゃないわよ!帝国軍なんて私の敵じゃないわ」

「言うだけならタダだって」

 ヘイスの言葉にセレーヌは激昂する。

「それほど言うならやってやろうじゃない!アレン!この作戦に参加するわよ!」

「はぁ……」

 アレンはセレーヌのさっきとは打って変わった態度に呆れる。それを聞いていたヘイスは内心ほくそ笑んだ。

 ヘイスはセレーヌのような高飛車な女が嫌いだった。力がないくせして吼えているようでむかつく。今度のことも帝国軍と戦ってもすぐにやられるだろうと思っている。もちろん死んで欲しくはないが、それでもやられるところを見て後で笑ってやろうかとも思った。

「大丈夫かしら……」

 アイラは二人が心配になってきた。もはや見るからにこの二人の相性が合わないのは誰の目に見ても明らかだった。グレイも後ろでため息をついている。

「それじゃぁ、報告するぜ」

 ヘイスは偵察として敵の戦力を見てきた。

「帝国軍は二百ほどだが、そのうちの半分がザラム直属の部隊で、この街の精鋭だ。そしてもう半分は人質を取られているフューリア軍だろう。見知った顔も何人か見かけた。そして俺たち反乱軍は百。数だけを見れば負けているが、人質を助け出せば敵のフューリア軍であった百は俺たちにつくはずだ。そうすれば数は逆転して百対二百になる。あとはザラムを優先して倒せば終わるだろう」

 これが今回の作戦だった。帝国との戦いで生き残った王国の軍は逃げ延びたか降伏したかのどちらかだった。降伏した者たちはそのほとんどが家族などの人質を取られ、逃げ出すことを許さなかった。そして逃げ出した者たちのほとんども今では反乱軍の中にいる。グレイもその一人だ。

「人質はどこにいるの?」

「砦の地下牢だ」

「そう……」

 アイラもこの作戦には賛成で、人質を助け出せば勝てると思われる。

「そういえば反乱軍の百ってどこにいるんですか?」

 さっきから疑問に思っていたことをアレンが聞いた。この近くに百人もの人間が潜伏できる場所は見当たらないのだ。

「それは……この近くに王国でもあまり知られていない地下洞があるの。そこに隠れていて、当日になったら私たちが門を開けて手引きするってわけよ」

「地下洞か……それは初耳だったな」

「私たちも最近までは知らなかったのよ」

 アレンは疑問が解けたことでヘイスに続けるように促した。

「決行は明日の夜だ。この作戦の鍵は人質を救出して、それを素早く敵軍に伝えることだ。そうだな……人質救出は俺と…お前にやってもらおうか」

 そう言ってセレーヌを指差した。

「私はお前じゃないわよ!」

 セレーヌがすかさず言う。よく考えればまだセレーヌとアレンは名前を名乗っていない。それを思い出したかのようにアレンは今さらだと思ったが、名を名乗った。

「アレンとセレーヌです」

「ふふ。そういえば名前を聞くの忘れてたわね」

 アレンがセレーヌの分も名前を名乗ると、アイラが言った。

「じゃぁ人質救出は俺とセレーヌ。そして仲間を手引きするのはアイラとグレイとアレンにやってもらおう。そのあと仲間と共に砦へ攻めてくれ。俺たちも急ぐからな」

「分かったわ」

 アイラが答えて、そのあとにグレイとアレンが続く。

「何で私があんたと一緒なのよ?」

「お前の泣いてる姿を見ないといけないからな」

「なんですって!」

 アイラはまたもや喧嘩になりそうな二人をすかさず止めに入った。

「もうやめてよね!……とりあえず作戦は以上よ。アレン、セレーヌ、明日の夜になったらまたここへ来てちょうだい」

「分かりました。それでは今日は宿のほうに帰ります」

「えぇ」

 それからアレンとセレーヌは酒場を出て宿へと戻ろうとする。去り際にアイラが言った。

「アレン……ありがとう」

「……」

 それには何も答えずにアレンは酒場を出る。セレーヌも最後の最後にヘイスに罵倒してからアレンの後に続くように酒場から出て行った。







 宿にたどりついた二人は部屋の中に入った。

「それにしてもあの男むかつくわね!」

 いまだセレーヌは悪態をついている。アレンはこういうところを見るとつくづくセレーヌが年上のようには思えない。

「だったら無視すればいいだろう」

「腹立つのよ!アレンもそう思わない?」

「別に。二人ともガキなだけだろ」

「アレンまでそんなこと言うの!?」

 今度は矛先が自分にきそうだったので、アレンは急いで話題を変えた。

「それで本当のとこどう思った?反乱軍のこと」

 セレーヌはその言葉に急に真面目な顔をして答える。

「そうね……思っていたよりも大きそうだったわね」

「それは俺も思ったな。結構いい人材もいるようだし」

「やっぱり今ここで反乱軍に入って利用するのが妥当なとこかしらね。あの男さえいなければもっといいんだけど」

 そう言ったがセレーヌは本当はヘイスがいようがいまいがどうでもよかった。実は二人はある目的があって旅をしていた。反乱軍に入ることはその目的に近づくとも言えることであった。だが、その反乱軍が弱いようでは話にならない。

「そうだな……今回のことで様子を見るか」

「それがいいわね」

 二人は今回の作戦で反乱軍の力量を判断することにした。それで十分だと感じれば反乱軍に入ることに決めた。もちろん入ったからには帝国軍はちゃんと倒すつもりである。

「ふぁぁ。……眠くなってきたからもう寝る」

 話も一区切りついたところで、アレンは眠気を感じたので颯爽とベッドへと入っていった。

「私は酒飲んでから寝るわ」

 アレンがベッドへ入ったのを見てセレーヌも寝ようとしたが、その前にちゃっかり帰りに買っていた酒を飲むことにした。早速取り出して口にする。

「ふぅ。やっぱ酒はいいわね!」







 アレンとセレーヌが酒場から出て行った後、残された三人は二人のことについて話していた。

「本当にいいのか?あいつらあんまし強そうじゃないけど」

 ヘイスは特にセレーヌのことを言っていた。

「それは兄さんから見たらでしょ。普通の兵たちに比べたら強いはずよ」

 アイラも実際アレンとセレーヌの腕を見たわけではないので本当は少し不安だった。ヘイスの強さがかなりのものであることはアイラも知っていたので、さすがに兄と比べるのは可哀相かと思ったのだろうか。

「しかし彼らが入ってくれるかどうかは分かりませんよ」

「それはそうだけど……」

 アレンは考えると言っただけで、まだ入るとは言っていない。アイラはそんなことは分かっていたが、今はアレンを信じるだけだった。

「俺は別にいらないと思うけどな。あんなやついたって迷惑なだけだぜ」

 もはやヘイスにはセレーヌのことしか頭になく、アレンのことは頭から外れているようだ。

「兄さんはすぐそう言うんだから……」

「まぁ、明日になれば彼らの実力も分かるでしょう」

 グレイはそう言ったが、暗に今話し合っても無駄だということを言いたかった。

「そうね」

 そう言って三人は明日のためにもう少し綿密に話し合うことにした。


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