合流…?
今回のお話は、第19部と同じ時間帯です。優雨が第19部で行動していた時に早苗がとっていた行動になります。
「怖い、怖い、怖い、怖い」
早苗はブツブツと独り言も言いながら前だけを見て歩いていた。早苗の横にある壁にはいくつもの絵が飾ってある。
早苗は、朱音が自分を監視していただなんて思ってもいなかった。朱音は人懐っこい性格だったため、遊びたくて付いて来ているものだと思っていたのだ。
先ほどまでは絵を確認しながら歩いていた早苗だったが、今は絵を一切見ずに進んでいた。
横に飾られている絵を気にしないように、早苗は必死に前だけを見て進んで行く。そんな中、早苗は優雨とはぐれた時の事を思い出した。
「そういえばあの時、声が聞こえたような……」
『カワイソウッテ、オモッテクレルノ?ナラ……カワッテヨ』
早苗が霧の中に飲まれる前に聞いた声。早苗にとって、その声はとても聞きなれた声だった。
「あれ、朱音の声だった……」
少し時間が経っているのにも関わらず、生々しく耳に残っている声。その声が早苗の背筋を硬直させ、歩き方をぎこちなくさせる。
ぎこちない歩きかたのせいで不規則になった自分の足音が、早苗の心をかき乱して不安感を増幅させた。
早苗はとにかく前へ、前へ、と考えながら歩いていた。そんな中、あることに気がつく。
部屋がどんどん薄暗くなっていっていた。
「え、え、うそ、やめてよ!」
かろうじて保っていた心の均衡が崩れた。冷静さを失い、走り出す。
長く続いていた廊下の先に、ドアが見えてきた。早苗は部屋の明かりが消えてしまう前にドアにたどり着こうと必死に走る。
どんどんドアとの距離が縮む。
やっとの事でドアの正面にたどり着いた時、早苗の足は宙に投げ出された。
「え……」
ドアの前には床がなかった。下は暗くて何も見えない。
早苗はそのまま落下していった。
ドサッ
穴はそれほど深くなく、ワンフロア分ほど落ちただけで済んだ。しかし不意に落とされた早苗は腕と胸を強打していた。
落ちた部屋は真っ暗で、周囲の状況を把握することもできない。
「うぅ…げほっげほっ…」
少し咳き込んで胸を撫で下ろす。強打したものの、骨折などはしていないようだった。
その時、部屋の奥に光が差した。外からドアが開けられたようだ。
「げほっげほっ」
早苗は咳き込みながら光の方を見つめた。
しかし、暗闇に慣れてしまった目では何者がドアを開けたか、すぐには判断できなかった。




