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離別
倒れた朱音に、優雨は駆け寄った。
そしてしゃがみこみ、朱音の肩に触れようとする。
しかし、優雨の手は朱音の体をすり抜けた。
それでも何度も、優雨は朱音に触れようとする。
数回同じことを繰り返し、優雨は地面を殴った。
そして、突き立てられた拳の横に数滴の雫が落ちる。
優雨は泣いていた。
「何なんだよ、これは」
涙を流す優雨を、後ろで早苗は見ていた。
なんで朱音がこんな目にあわなければならなかったんだろう、そう早苗は思っていた。
その時だった。
『カワイソウッテ、 オモッテクレルノ? ナラ・・・・・・、 カワッテヨ』
突然早苗の耳元で声が響き、霧の中から手が伸びてきた。
早苗は急いで優雨に助けを求めようとする。
しかし、声を出す前に、早苗は霧の中に引きずり込まれた。
優雨は涙をぬぐい、立ち上がった。そして振り向いて早苗に話しかけようとする。
「早苗、先にすす・・・・・・。 あれ?」
振り向くと早苗の姿はない。
優雨は一瞬で青ざめ、あたりを見渡して早苗を探す。
しかし、どこにも早苗の姿はなかった。
優雨は取り乱し、走り出す。
「早苗! 返事をしてくれ! おい!」
優雨は一心不乱に早苗を探し続けたが、早苗を見つけることはできなかった。




