序ノ怪 深紅の瞳
暗がりの奥で、気味の悪い笑みが浮かぶ。
その様子に思わずぞっとする。
「それで?意見を聞こうカナ?」
独特のなまりのある口調。常に弧を描く口元。
緊張で口の中が乾く。カラカラだ。
飲み込む唾さえ出てこない。
「口が利けなくなったのカナ?」
手をヒラリ。
“紅”がおどけてみせる。
「わ……たし……は……」
やっとの思いで出たのは、裏返った、掠れた声。
それをニヤニヤと見つめる“紅い”影。震える手を隠すように背中で拳を作る。
一体、何を言えばいいのだろうか?
下手な言い訳をすれば間違いなく今以上の窮地に立たされることになる。
息がうまくできない。
「好きに話せば良いヨ。ただコイツが全部落ちるまでに」
そういってコンと、青い砂時計をつつき、より一層、笑みを深め
「話さなければ、こちらから動くマデ」
相変わらず表情は変わらないが、確かに瞳だけは鋭く光った。
その鮮やかな、深紅の瞳が……
この小説に目を通して頂いた方、感謝いたします。
初小説ですが、がんばって日々精進していきたいと思います。
分かりづらい・誤字脱語などありましたら申し訳ございませんが
ご指導ご鞭撻いただければありがたいです。
今後もよろしくお願いいたします。