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譲れぬ闘いに臨む者たち


 大山羊の乗り方は教わった。

 角と角の間に手を掛ける縄が付いている。

 本当は鞍も載せるが無くても乗れる。

 アーネストは腐っても騎士だ。


 とは言え、繋がれていない興奮した大大山羊に人間の力では敵わない。

 アーネストは今日も腰に巻いていた風魔術の掛かった布を引き抜き、大大山羊の方に向けてヒラヒラと振った。

 大大山羊はメルちゃんからアーネストの方に向き直り一気に向かってきた。

 アーネストは大大山羊が突進してくるのに合わせて自分の身を翻し、大大山羊の正面に布を垂らした。


 大大山羊が布に突っ込んだ。

 すると、衝撃で発動するようになっていた風魔術が起こり大大山羊の動きが数秒止められた。

 大大山羊は自分で突っ込んだ布でモガモガしている。


 すかさず、アーネストは山羊小屋の壁を蹴って、

 大大山羊に飛び乗った。


 途端に大大山羊が暴れ出した。

 メルちゃんも置いて一気に駆け出す。

 崖だって登れる大山羊だ。

 そこら辺中の建物を上ったり降りたり、もう暴れ放題だ。

 でもアーネストは手を離さず大大山羊にしがみついている。



「アーネスト!大丈夫か!!」


 騒ぎを聞いて慌ててガトゥールが駆け付けた。

 すぐ後ろからエレンも来る。

 更に後ろでは「ルーナ」に扮したルキウスがベールを外しながらドレスでなんとか走っている。

 ガトゥールは地面に手を付いて魔術の詠唱を始めた。


 地面がボコボコと盛り上がったかと思うと大大山羊を囲んで一気に壁を作った。

 しかし大大山羊の方が一瞬速かった。

 壁ができる前に飛び越えてしまう。


 今度はエレンが詠唱を始める。

 エレンの手首の周りから、とぐろを巻いた水が起こり大大山羊に向かっていった。

 水圧で大大山羊の動きが止められる。


 再びガトゥールが土魔術で大大山羊を囲む壁を作った。

 今度は成功した。大大山羊を捕らえた。


 しかし水に濡れて手が滑ったアーネストは大大山羊が最後に体を揺らした振動に耐え切れず空中に放り出された。


 アーネストは放物線を描いて地面に落ちてゆく。

 落ちる先にはルキウスが回り込んでいた。

 ルキウスはアーネストをなんとか抱えようと態勢を取って構えた。


「ルーナ様!!」


 エレンが水魔術で水の塊を「ルーナ」の背中に押し当てる。

 ちょうどアーネストをルキウスが受け止めていて、水のクッションがその衝撃を吸収した。


 二人は地面に弾けるように転がった。


 ルキウスもアーネストもそれぞれすぐに立ち上がれた。

 無事なようだ。

 しかし二人共ずぶぬれで、ルキウスの「ルーナ」に扮するための空色のドレスはビリビリに破れてしまった。


 皆、沈黙した。

 大大山羊の、ノアアアアアァと言う鳴き声だけが土の塊の中から響いている。


 ルキウスの上半身は、今、肌までしっかり見えている。



「ル、ル、ル、ルーナ?……さま?…?…?」


 震えながら一番最初に声を発したのは、遅れて到着したカディラだった。


少しお休みします

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