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謁見3


「ら、らいてい、『雷帝』?!、えっ?!、えっ?!」

 魂がここに無いように見えた君主が今度は口を開いた。

 しかし、なぜかひどく驚いている。


「今、『雷帝』って言ったよな?」

「今、『雷帝』って言ったよな!」

「今、『雷帝』って言ってた?」

「今、『雷帝』って言った!」

「今、『雷帝』って言ったような……」


 なんか皆が一斉に同じことを、しかもあちこちで言い出した。

 ルキシャはなにかまずいことを言ったのだろうか?

 『雷帝』は禁句だったのか?


 君主は流石に君主なので、この場を収めなければと気が付いた。


「えー、その……ルーナ殿下、貴方は『雷帝』の婚約者になりに来られたのかな?」

「……は…い、叶うならばと……」

「『雷帝』とは、なんだ、ぐほんっ、『黒闇の雷帝』ってやつで合ってる?」

「……はぁ…はい……」


 君主は頭を抱え出した。

 ルキシャは雲行きが怪しいと気付くが状況が読めない。

 自分は失敗したのか?


 君主のごく近辺だけを見渡してみると、驚いている者が多い中で、ひと際強い目で睨みつけてくる黒髪のごっつい男がいた。

 出で立ちから君主の護衛だと思われるのだがルキシャは睨まれることを言ったのだろうか。


( も、もしかして……『雷帝』ってあっちの人か?、そうなのか? )


 確かに、射殺しそうなぐらいに睨んでくる姿が恐ろしいと言えば恐ろしい。

 ルキシャはおずおず聞いてみる。


「あ、あの、お噂だけしか存じ上げず……、無礼を承知で伺いたいのですが、

 もしかして、もしかすると、『雷帝』様とは、あちらの……方だったり……、

 いたします?」


「あー、いやいや、違う違う。惜しいけど違います。

 こっちのごついのは兄だから。兄の方じゃなくて……」


 と君主が応えたそのとき、急にルキシャの背後で騒ぐ声が聞こえた。

 今までのヒソヒソとした声ではなく、何か悲鳴のようだ。

 さっきの睨んできた男が、今度は青い顔になってその騒ぎの方へ走る。


「おい!、なんか、バチバチしてるぞ」

「なに?、なんだ?」

「どこに逃げればいいんだ!」


 急に外が暗くなり出した。

 先ほどまで白く見えていた雲が濃い灰色の狂暴な色へと変わりだしたのだ。


 ここは平たい床のホールだ。

 ルキシャの位置からは騒ぎの中心が見えない。


 君主も騒ぎの方向へ向かおうとした。


「キーズ様!、こちらは危険です。避難しましょう!

 ルーナ殿下も、走って付いて来て下さい!

 皆も護衛の指示に従って逃げるのだ!」


 君主の元に侍従長のエレンが駆け寄る。

 その声ではっと気が付いた者も多いようだ。


 ルキシャには、やはり状況が掴めない。

 「避難」とはなんだ?


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