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プロローグ
外には灰色の凶悪そうな厚い雲。
先ほどからゴロゴロと音も鳴り出した。
ほんの少し前までは雲間から日が差していたというのに。
宮殿の広間から逃げ出した人々が渡り廊下を走っている。
「ルーナ公女殿下はどうされたのだ?」
気が付いて声を上げた者がいたが「ルーナ」はいない。
「まさか!、まだ広間におられるのか?」
その頃、広間には親善大使としてやって来た「ルーナ」公女がいた。
今「ルーナ」は、その美しい金絹の髪を揺らして跳ぶように走っているところだ。
「ルーナ」の碧の貴石のような瞳が見つめる先には眩い閃光を放つ少女がいる。
バリバリという雷鳴が先ほどより近くで聞こえる気がする。
大柄な黒髪の男の横を通り抜け「ルーナ」は少女の前に立った。
そして宝物にするように、「ルーナ」は少女を優しく抱きしめた。




