絡まった糸は蜘蛛から離れない~彼女said
テーブルにご飯を運ぶ、今日もお母さんの手料理だ。 テーブルにはお父さんと弟がご飯が運ばれてくるのを待っている。 いつもの光景⋯⋯これが白石美咲ーー私の日常である。
家族団欒の楽しい時間、ご飯を食べ終わった頃、私は皆んなに話かけた。
「私、決めたことがあるの⋯⋯中村颯汰くんの家にしばらくの間暮らそうかなって思っているの」
「中村さんと言うのは⋯⋯最近話しているあの彼のこと? あの美咲がね~」
「おいおい美咲、そんなにその男が好きなのか? いくらなんでも早すぎるだろ! せめて俺も本人にあってからだな」
「親父はあった所で難癖をつけるだけじゃね」
「な! そんなことないぞ、俺だって話ぐらいは聞くさ⋯⋯話ぐらいはな」
家族の反応はさまざまだった⋯⋯でも私はもう既に決めていた。
「私は決めたから⋯⋯それにしばらくだから、すぐ帰ってくるよ」
「別にいいじゃね、あねきが決めたんなら」
「そうね⋯⋯まあいつかは来ることだから、応援するわね美咲」
家族が応援してくれる⋯⋯待ててね颯汰、今あなたのそばに行くから。
「おい美咲! 俺は認めてないぞ、男と二人暮らしなんてそんなの何も起こらない訳が⋯⋯」
「お父さん! もうあの子には聞こえてないわ。 はぁ、心配になって来たわね⋯⋯中村さんが」
私はテーブルにご飯を運ぶ私の手作りだ、私は颯汰に挨拶をする。
「颯汰さん、おはようございます。 今日もいい天気ですね」
「おはよう美咲。 そうだな⋯⋯今日も朝飯を作ったのか」
「同居しているので、当然のことです」
「無理しなくていいからな、辛くなったらいつでも実家に帰ってくれよ」
颯汰は私に、またそう言ってくる。 でも私は知っている、颯汰は私のことが好きだと言うことに。 しかし何故か遠ざけようとする。 理由はわからないけれど⋯⋯でもそんなことは私には関係ない。
私は適当に自分を責める発言をした、するとすぐに颯汰は、私を褒めてくれる、それが颯汰の可愛い所のひとつだと私思う。 すると颯汰は考え込んでしまった⋯⋯何を考えているのか楽しみで仕方ない。
「今日はでかけよう、よし行くぞ」
「え、待ってください、着替えとか⋯⋯準備がまだ」
「準備? 別にいいだろ、美咲はそのままで可愛いから」
そう言い彼は部屋から出ていく⋯⋯デートだしおしゃれしたいな、せっかくお出かけ用の服も家から持ってきたのに。 でもそんなことは、最後の発言でどうでもよくなった。 私はそれがとても嬉しくてつい呟く。
「そのままで可愛い、ふふふ⋯そんなこと言ってもらえるなんて、嬉しいよ颯汰」
「ほら、何ぼうっとしているんだ、いくぞ」
私はついぼうっとしてしまった、本音が聞こえないようにしないと、颯汰に引かれたくないから。
二人で道端を歩く、最初は何処か行く所があるのかと期待したが、どうやら本当に思いつきだったらしく、近所を周るだけのようだ。 やがて公園についた私たちは、ベンチに座った。 すると颯汰はこう言った。
「あのさ、やっぱり考え直した方がいいと、思うんだよね」
「颯汰さん⋯⋯なにをですか」
「俺たちの関係をだよ、俺たちは一緒にいたら、お互いによくないんだ」
颯汰が言うには私を好きだからこそ、一緒にいることでお互い不幸になることを避けたい、そう言っているようだ⋯⋯正直、意味が理解できない、それじゃあまるでこれから起こる未来を知っているような言い方だ。
私はベンチから立ち上がる、颯汰が止めるが聞かない。 私はここまで颯汰と接して来てわかったことがある、それは颯汰は予想外の反応をされると動揺してこちらの意見に流されるという事実だ。
私は颯汰の家に帰りそのまま、部屋に向かいシーツに包まった。 これは自分が実家に帰らずに、しかもこの家のこの部屋に引き篭もると言う意志ををわかりやすくする為だ。 そして帰ってきて、こちらへ来た颯汰にこう話した。
「私はここから出ません、ですから、颯汰さんは心配しなくて大丈夫ですよ」
「心配? どういうことだ、分かりやすく説明してくれないか」
私は、颯汰がいないともう駄目だと言うことを適当に長々と説明してあげた。 すると、颯汰の顔が曇っていった。 私は颯汰の反応を心の中で愛しくなりながらも、顔には出さないようにした。
颯汰は私の決意を理解したのか、私に寄り添ってくれた⋯⋯計画どおりに作戦成功、私は颯汰に微笑んだ。
逃げられないよ、だってあなたの巣はここ⋯⋯そして私は貴方に惹かれてここに住みついた。
私は同居すると決めた時から、実家に帰る気はなかったよ、だからこれからもよろしくね颯汰。




