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第八章 意志の疾走 ― 7 戦車(The Chariot)
平原を走る戦車があった。黒と白の二頭の獣に引かれ、凛と立つ騎士が手綱を握っていた。
名をロガン。無言のまま、レオの前に立ち止まる。
「……それ、操れるのか?」
「力だけでは、進めない」
そう言ってロガンは手綱をレオに渡した。レオは乗り込む。二頭の獣が反発し合い、車輪が軋む。
「意志を、一つに」
ロガンの言葉に、レオは深く息を吸った。
「行け……!」
戦車が走り出す。意志と本能、理性と情熱。その狭間で、レオは確かに前進していた。