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第十二話 踏みしめる道(Knight of Pentacles)
重厚な甲冑を身にまとい、馬をゆっくりと進める騎士がいた。
名はグレイン。道を急がず、足元を確かめながら、大地を一歩ずつ踏みしめる。
「俺の仕事は、今日と明日をつなげることだ」
華やかさはない。けれど彼の背には、積み重ねた季節の重みがあった。
「進むのが遅いと笑う奴もいる。でもな、遅くても着く奴が“ほんとの強さ”を持ってるんだよ」
レオはその言葉に深く頷いた。
旅の最初には見えていなかったもの――積み上げる強さ、耐える強さ、止まらない強さ。
グレインの背中は、それを静かに教えてくれていた。
踏みしめた道は、確かに“レオの旅”へと続いていた。