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第三話 つながる手(Three of Pentacles)
石造りの聖堂で、三人の職人が黙々と作業をしていた。
ひとりは設計士、ひとりは彫刻家、ひとりは資材を運ぶ青年。
それぞれの役割は違えど、目指す形はひとつだった。
「俺ひとりじゃ、どうにもならない。でも、誰かがいてくれると、“できる”に変わるんだ」
そう語るのは青年ミロ。汗まみれで笑いながら、柱を立てる。
レオはその姿に、これまでの旅を重ねた。
ひとりでは越えられなかった場所。差し出された手、支えてくれた言葉。
「土を耕すにも、建物を立てるにも、人の手がいる。だから“信頼”ってのは、一番強い基礎なんだよ」
ペンタクルが刻まれた石板を、三人の手が同時に支える。
それは、ひとつの“信念”の完成だった。