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第十三話 知の裁定者(Queen of Swords)
白銀の宮殿。その高座に座る女性は、冷たくも美しい剣を膝に抱えていた。
名はシルヴィア。風の王国の女王にして、裁きを司る者。
「感情は霧を生む。理性はそれを晴らす剣」
彼女の言葉は鋭く、まるで心の奥を切り裂くようだった。
だがその刃は、決して無慈悲ではない。むしろ、正確に“真実だけ”を見抜こうとする誠実さに満ちていた。
「あなたは何を基準に選び、何を捨ててきたの?」
レオは答えに詰まった。
それでも、自分の道を語った。迷いも、後悔も、隠さずに。
シルヴィアは静かに頷いた。
「いい判断ね。すべてを断ち切る必要はない。けれど、曖昧さに甘えることも許されない」
その声は冷たくもあたたかい――風の刃であり、同時に“清めの風”でもあった。