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第十話 終わりの剣(Ten of Swords)
明け方の平原に、レオは倒れていた。
背中には十本の剣が突き刺さっているような感覚。実際には何も刺さっていない。けれど、心は動けないほどに重かった。
「もう、立ち上がれない……」
けれど、そのとき見えた。
東の空に、一筋の朝日が差し込んでいたのだ。
「……まだ、終わってなかったのか」
剣の幻影は静かに崩れ、レオの背中から霧のように消えていった。
終わりに見える痛みの中には、必ず始まりの欠片がある。
それに気づけるかどうかが、風の地を越える鍵なのだ。
レオは地に手をつき、ゆっくりと起き上がった。
剣を抜くのではない。剣ごと、新しい自分へと変わっていくために。