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第六章 信仰の教え ― 5 教皇(The Hierophant)
石の階段を登った先に、小さな聖堂があった。扉の前に佇んでいたのは、白銀の法衣をまとう老いた司祭だった。
「私はセリオン。教えを紡ぎ、人々を導く者」
聖堂の中には、信徒と思しき人々が静かに祈っていた。香の香りが空気を包み、厳粛な空気が流れている。
「知ること、信じること、そのどちらが先か――君はどう思う?」
レオは少し考えてから答える。
「信じることができなければ、何を知っても意味がない気がする」
セリオンは静かに頷いた。
「信じるということは、光を見出すということだ。迷ったとき、その光を見失わないようにな」