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第四話 眠りの誓い(Four of Swords)
古い聖堂の一角。ひとりの騎士が石の寝台に横たわっていた。
その顔は穏やかで、まるで眠っているようだったが、胸には祈りの剣が安らかに置かれている。
「戦いのあとには、静けさが必要だ」
レオが近づくと、レクスが囁いた。
「思考も剣も、研ぐにはまず、休ませなければならない」
レオは寝台の隣に座り、そっと目を閉じた。
静寂のなかで、彼は自分の中の騒がしさと対峙する。
過去の選択、後悔、そして疲れ。
それらは剣の錆となり、刃を鈍らせる。
だが今は、剣を鞘に納め、心を休める時だった。
眠るように――それは、次なる戦いへの“準備の静寂”だった。