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─運命の旅路─  作者: 夢乃
第三部 小アルカナ編:カップの王国 ― 水と感情の王国
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第十三話 心を映す鏡(Queen of Cups)

 月の光に照らされた水宮。その中央の玉座に座すのは、深い青の衣をまとう女王――マリアーナ。

 彼女の周囲には揺らぐ水の鏡がいくつも浮かび、人々の心を静かに映し出していた。


 「あなたの中に、隠している感情があるわね」


 レオは戸惑いながらも頷いた。誰にも言えなかった不安、嫉妬、迷い――

 それらを認めることが、怖かった。


 「心に向き合うのは、剣よりも怖いこと。でも、あなたはもう、それができる人」


 マリアーナはそっと杯を差し出す。

 「この水をのぞいてごらんなさい。映るのは、誰かじゃない。“本当のあなた”よ」


 レオは杯を覗き込む。そこにいたのは、強がりながらも傷ついてきた自分。

 けれどその姿を見たとき、少しだけ――心が軽くなった。

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