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─運命の旅路─  作者: 夢乃
第三部 小アルカナ編:カップの王国 ― 水と感情の王国
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第十一話 心の芽吹き(Page of Cups)

 湖のほとり、小舟の上でひとりの少年が魚と話していた。

 「ねぇ、今日の水、ちょっと冷たいね」


 レオが声をかけると、少年は驚いたように振り返った。

 「魚と話せるんだよ、心を静かにすると声が聞こえるの」


 その名はティル。幼く無邪気な彼は、水面に向かって語りかける繊細な心を持っていた。


 「感情ってね、生きてるんだ。優しくすれば、ちゃんと返ってくる」


 レオは思った。ティルはきっと、まだ世界の残酷さを知らない。けれど、それが彼の“強さ”でもあった。


 「君の心は、まるで……芽吹きかけた若葉のようだな」


 「うん。ぼく、自分の気持ち、大事に育ててみたいんだ」


 その言葉に、レオの中にも忘れていた何かがそっと芽を出した。

 未熟な心の美しさが、確かにそこにあった。

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