表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
─運命の旅路─  作者: 夢乃
第三部 小アルカナ編:カップの王国 ― 水と感情の王国
45/82

第八話 水際の決断(Eight of Cups)

 夜、静かな湖の縁で、レオは八つの杯を背にして立っていた。

 それは旅の中で手にしてきた、思い出や絆の象徴。整然と並べられたそれらは、まるで完成された風景のように美しかった。


 けれど、レオの心は動いていた。


 「このまま、ここにいても……俺は、もう前には進めない」


 それは贅沢な迷いだった。満たされた場所を離れることは、満たされぬ何かを求めている証。


 「去ることは、裏切りじゃないわ」

 ミレナの言葉が背中を押す。

 「そのすべてを愛したまま、手を振って進めばいい」


 レオは一歩、湖を背にして歩き出す。

 感情を置いていくのではなく、連れていく。名残惜しさごと、自分の一部として。


 月明かりの下で波が静かに揺れていた。次の場所へ向かうための、決意の揺らぎだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ