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─運命の旅路─  作者: 夢乃
第三部 小アルカナ編:カップの王国 ― 水と感情の王国
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第五話 さよならの水音(Five of Cups)

 雨の湖畔。灰色の空の下、レオは倒れた三つの杯を前に立ち尽くしていた。

 まるで、そのまま時が止まってしまったかのように。


 ノアの姿は、そこにはなかった。

 数日前、ふたりは別れた。理由ははっきりしない。ただ、言葉が交わられず、そのまま離れてしまった。


 「俺が……選ばなかったから、か」


 自分で手放したはずなのに、胸の奥が水底に沈んだように重い。

 そこへミレナが現れる。レオの肩にそっと手を置いて、指差した。


 「倒れた杯ばかりを見ていると、まだ立っているふたつに気づけないの」


 レオは振り返る。そこには確かに、揺らがぬ水を湛えるふたつの杯があった。

 それだけで、すぐに心が満たされるわけじゃない。でも、少なくとも“終わりだけじゃない”と、思えるようになった。


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