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第三話 祝福の水音(Three of Cups)
森の奥の広場に、花と笑顔があふれていた。村の小さな祝祭。
ノアと共に歩いていたレオは、招かれるまま輪の中へと引き込まれる。
踊る子ども、笑う老人、杯を交わす旅人たち――
「こんなにも心が重なり合う場があるんだな」
ノアとレオは、杯を手に向かい合う。
「これが“共にある喜び”。それだけで、祝う理由になる」
誰かと杯を交わす。それは、言葉のいらない約束だった。
レオはその温かさに身を任せながら、自分の心が少しずつほぐれていくのを感じた。
祝祭の灯が空に上がり、杯の中の水が、星のように煌めいていた。