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─運命の旅路─  作者: 夢乃
第二部 小アルカナ編:ワンドの王国 ― 情熱と創造の地
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第十三話 揺れる女王の灯(Queen of Wands)

 砂漠にそびえる城の中庭。色鮮やかな花と炎のランプに囲まれた玉座に、艶やかな女王が座っていた。名はミランダ。彼女は黒猫を膝に乗せ、レオをじっと見つめていた。


 「あなたの火……荒々しいけれど、純粋ね」


 彼女の声は落ち着いていて、炎のように柔らかくも強い。杖の先に咲く花が、優雅に揺れるたび、空気が温もりを帯びていく。


 「情熱だけじゃ、火は保てないの。支える力がなければ、燃え尽きてしまうわ」


 レオは、ラズエルの火を思い出す。燃え盛る激情と、止まらぬ衝動。

 それに比べ、ミランダの炎は静かで、けれど一層力強かった。


 「導く炎もあるんだな」


 「ええ。私は、燃やすよりも“灯す”火を選んだの」


 彼女の瞳の奥にあったのは、揺るがぬ自信と、深い優しさだった。

 その灯火に照らされながら、レオは“燃やすだけではない火”の意味を学んでいく。

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