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第十話 燃え尽きる夜(Ten of Wands)
山を越え、谷を抜け、塔の最奥に続く最後の道。
レオの背には、十本の杖が重くのしかかっていた。
「……重いな」
けれど、その重さの一つひとつが、彼にとっては“誇り”だった。
過去の選択、出会い、戦い、涙。そのすべてが、この背に刻まれていた。
「捨てるなんてできない……これが、俺の旅なんだ」
足元は揺れ、膝も震えていた。それでも、前に進む。杖がずり落ちても拾い上げる。
誰が見ていなくても、どれだけ時間がかかっても。
やがて彼は、塔の頂にたどり着いた。息も絶え絶え、汗まみれで。
けれどその瞬間、空に火柱が昇り、すべての杖がひとつの炎に変わった。
それは“意志の結晶”。燃え尽きた先に残る、揺るぎない魂だった。