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─運命の旅路─  作者: 夢乃
第二部 小アルカナ編:ワンドの王国 ― 情熱と創造の地
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第九話 揺るがぬ灯火(Nine of Wands)

 塔の最上段を目前に、レオの歩みは鈍っていた。

 腕には傷、足は泥にまみれ、息も絶え絶え。だが彼の手から杖が離れることはなかった。


 「ここまで来て……止まるもんか」


 振り返れば、いくつもの炎が過去の試練を照らしていた。そのすべてが、今の彼をつくっている。


 「守りたいわけじゃない。ただ、ここを譲りたくないだけだ」


 立ちふさがるは、己の弱さ。心の声が囁く――もう休め、と。だがレオは首を振った。


 「火が消えるそのときまで、俺は……俺を燃やし続ける!」


 彼の炎は、もはや派手に燃え盛るものではなかった。

 だが、その揺らがぬ灯火こそが、本当の“強さ”だった。

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