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第六話 重き炎(Six of Wands)
塔のふもとで、人々がレオを出迎えていた。いつしか旅の噂が広がっていたのだ。
「お前の火は、他人の心にも灯ったんだ」
アレンが静かに語る。だがレオは、喜びよりも戸惑いを覚えていた。
「これは俺の火じゃない。みんなが勝手に期待してるだけだ」
だがその声に、アレンは首を振る。
「そう思うなら、証明してみせろ。お前の炎が、ただの偶然じゃないことを」
レオは頷いた。賞賛はまだ、重すぎる。
だが、その重みを背負うと決めたのは、ほかでもない、自分だった。