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第四話 熱の行進(Four of Wands)
長い道を歩き抜け、谷の間にある小さな村にたどり着いた。
そこでは祭りが開かれていた。空には紅の布が張られ、焚火の周りを人々が笑って囲んでいた。
「こんなにも火が穏やかに見えるなんてな」
レオはその光景に、どこか懐かしさを覚えていた。焚火の向こうで手を振るリサがいた。彼女は杯を掲げる。
「燃やすだけが火じゃない。囲んで祝う火も、ちゃんとあるの」
レオは祭りに加わり、初めて杖を地面に立てた。そこに風はなく、争いもない。ただ、共にある火があった。
熱くて、優しい。
それは、旅の中にある一瞬の休息だった。