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─運命の旅路─  作者: 夢乃
第二部 小アルカナ編:ワンドの王国 ― 情熱と創造の地
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第一話 始まりの炎 ― ワンドの1(Ace of Wands)

 火山のふもと。地面から吹き上がる蒸気の隙間に、一本の杖が突き刺さっていた。


 それはまるで、地の奥から生えてきたかのように自然で、けれど異質な存在感を放っていた。


 「……これは?」


 レオが手をかけると、杖は熱を帯びて震えた。だが、その熱は不快ではなかった。むしろ内側に眠っていた何かが、呼応して燃え上がるような感覚だった。


 「それは“始まり”の火だ」


 声の主は、岩の影に佇む男だった。全身を赤銅色の鎧で覆い、その瞳には野火のような光が宿っていた。名をアレンという。


 「それを手にした瞬間、お前の意志は“現実に形を持つ”。創り出す覚悟があるか?」


 レオはうなずく。


 「ある。俺は……自分の意思で、この旅を続けるって決めた」


 アレンは満足げに頷き、指を鳴らした。大地が揺れ、杖の根元から炎の道が走る。それは、この王国での試練の始まりを告げるものだった。



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