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第二章 創造の始まり ― 1 魔術師(The Magician)
目を開けると、そこは草原だった。だが、先ほどまでいた場所とはどこか違っている。空はより青く、草の緑も濃い。空気には、魔法のようなざわめきがあった。
「ようこそ、レオ・フール」
声がした。振り返ると、石のテーブルの前にひとりの男が立っていた。金の髪、赤と白の衣装、そして鋭い瞳。
「私はマギオス。創造の原理を司る者」
テーブルの上には、剣、杖、杯、金貨が置かれていた。
「それらは思考、意志、感情、そして現実の象徴。世界を形づくる四つの力だ」
レオは目を見開く。
「……これが、世界を創るもの?」
「君が望むなら、これらは君の内にも現れる」
マギオスは、手のひらを天へとかざした。すると、四つの道具がふわりと宙に浮き、光となってレオの胸へと吸い込まれていく。
「旅を始めるがいい。君には、それを使うだけの資格がある」
そして、マギオスの姿は、風に溶けるように消えていった。