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第十九章 太陽の微笑 ― 19 太陽(The Sun)
霧が晴れ、目の前に広がったのは金色の草原。空は高く、太陽が燦々と降り注いでいる。
草の上では、子どもたちが裸足で笑いながら駆け回っていた。輪の中心に立つ青年が、レオを手招く。名はアウロ。
「よく来たね。ここまで歩いてきた君に、祝福を」
レオはその場に立ち尽くした。何も考えず、何も背負わず、ただ“在る”ことの喜びに、心が震えた。
「この光は、ごほうびでも、報いでもない。君が“君であること”を、世界が讃えているだけなんだ」
レオはそっと、太陽に目を細めた。温かさが、全身を満たしていた。