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第十八章 幻の道 ― 18 月(The Moon)
森が深くなった。霧が立ち込め、音が吸い込まれる。進むほどに足元は曖昧になり、空と地の境界が消えていく。
そこにいたのは、仮面を被った双子のような男と女――ネイシュとミレア。
「ここは夢と現の狭間」
「真実はひとつとは限らない」
ふたりの声が重なり、レオの心が揺れる。過去の影が現れ、後悔の声が耳元に囁く。
「君の敵は幻ではない。恐れだ」
レオは目を閉じ、深く息を吐いた。
「……恐れても、進むよ」
月の光が雲間を照らす。そのとき道が、一筋だけ浮かび上がった。