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第十六章 崩壊と目覚め ― 16 塔(The Tower)
雷鳴が轟く空の下、巨大な塔が空を突いていた。
レオがその前に立った瞬間、稲妻が塔を撃ち抜いた。
「これは……!」
崩れていく石。積み上げてきた信念、価値観、そして偽り。それらがすべて瓦礫と化していく。
炎の中に立っていたのは、黒髪の女性――名はイヴァナ。塔の番人であり、破壊の証人。
「壊れることを恐れては、真実には辿り着けない」
崩壊の中、レオは立ち尽くす。けれど、恐怖はなかった。
「これは……解放なんだ」
立ち込める煙の奥に、一筋の光が差し込んでいた。