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第十四章 終わりの門 ― 13 死神(Death)
川を渡った先に、黒衣の騎士がいた。頭蓋の仮面を被り、漆黒の馬を引いている。名はクロヴァン。
「恐れるな。私は終わりではない」
その足元には枯れた花々が咲き、背後には新芽が芽吹いていた。
「過去にしがみつけば、新しき芽は育たぬ。死とは、次なる始まりのための儀式だ」
レオは一歩、前へ出た。クロヴァンは静かに頷く。
「君はすでに、一度“死に”、そして生まれ変わっている」
風が吹いた。レオの背から、古い影がひとつ、静かにほどけていった。